第63回人工知能学会分子生物情報研究会(SIG-MBI)

第63回 人工知能学会 分子生物情報研究会(SIG-MBI)(オープンバイオ研究会と共催)(第49回 情報処理学会 バイオ情報学研究会(3月23日午後~24日午前)と連続開催)

日時: 平成29年3月24日(金)午後〜25日(土)午前
会場: 北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科 講義棟中講義室
(〒923-1292 石川県能美市旭台1-1)
http://www.jaist.ac.jp/top/campusmap/

世話人: 佐藤賢二(金沢大学)

参加申し込みはこちらから

http://bioinfo.ec.t.kanazawa-u.ac.jp/~ken/sigmbi/
http://bioinfo.ec.t.kanazawa-u.ac.jp/~ken/sigmbi/reserve.html

 

場所:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST) 知識科学研究科講義棟2F中講義室

内容:特にテーマを限りませんので、奮って御応募下さい。

発表希望者は、概要を以下の様式で佐藤 (ken@t.kanazawa-u.ac.jp) までお送り下さい。

著者(講演者に◯)、所属
代表者の連絡先
講演タイトル
講演概要(数行程度)
希望講演時間(分)

★ Subject: には必ず「発表希望」と御書き下さい。★

採択およびプログラム編成は世話人に御一任下さい。

 

プログラム
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14:00-14:40
新学術領域「分子ロボティクス」の成果と今後

◯小長谷明彦(東京工業大学)

感覚と知能を備えたロボットを生体分子で構築することを目標とした新学術領域「分子ロボティクス」が2017年度末に終了する。5年の歳月の中で、リポソームをベースとしたアメーバ型ロボットやDNAや微小管をゲル化したスライム型ロボットを開発し、分子ロボットの概念の実現性を実証した。第23期日本学術会議大型研究計画マスタープランにも「分子ロボティクス・イニシアティブ」が採択されるなど、新しい学術領域として広く科学界に認知された。後継プロジェクトとしてはNEDO「分子人工筋肉」ならびにJST「分子ロボット倫理」が採択されており、社会的に受容可能な分子ロボットの実用化を目指して研究を推進している。

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14:40-15:00
超高機能構造タンパク質を求めて

◯河野暢明1・藤原正幸1・中村浩之2・大利麟太郎2・冨田勝1・荒川和晴1
1. 慶應義塾大学先端生命科学研究所
2. Spiber株式会社

様々な生物が持つ構造タンパクはそれぞれの物性から工業的応用が期待されており、蜘蛛が精製する糸になどは脱石油製品である次世代素材としてバイオテクノロジーによる人工合成が多く試みられている。しかしこうしたタンパクを構成する関連因子は複雑で、多くはその正確な特徴や傾向が未知のままで、有効利用されずにいる。本講演では、内閣府の革新的研究開発推進プログラムImPACT「超高機能構造タンパク質による素材産業革命」として遂行されている本プロジェクトの概要とともに、
これまで行って来た超高機能構造タンパクの物性解析から遺伝子探索に関する結果を報告する。

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15:00-15:10 休憩

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15:10-15:30
ドゥジャルダンヤマクマムシとヨコヅナクマムシの比較ゲノム解析

◯吉田祐貴1,2, Georgios Koutsovoulos3, Dominik R. Laetsch3,4, Lewis Stevens3, Sujai Kumar3, 堀川大樹1,2, 石野響子1, 小峰栞1, 國枝武和5, 冨田勝1,2, Mark Blaxter3, 荒川和晴1,2

1 慶應義塾大学 先端生命科学研究所
2 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 先端生命学プログラム
3 Institute of Evolutionary Biology, School of Biological Sciences, University of Edinburgh
4 The James Hutton Institute
5 東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻 細胞生理化学研究室

微小動物であるクマムシによって形成される緩歩動物門は,脱皮動物門の進化,極限環境への耐性,進化 における遺伝子水平伝播の役割などの議論の中心となっている.緩歩動物は形態学的解析によって,節足動物と有爪動物と姉妹群を形成する側節足動物として考えられているが,近年の分子系統解析ではこの分類が必ずしも支持されず,カンブリア紀の脱皮動物の多様性拡大の軌跡に未だ決着がついていない.また,陸生のクマムシは液体の水の喪失に伴い乾眠や凍眠を含むクリプトビオシスと呼ばれる無代謝の休眠状態に移行する事ができるが,これは液体の水の存在を前提とする細胞生理の根幹を問い直す.さらに,輪形動物を中心として脱皮動物進化における遺伝子水平伝播の役割が問題提起されているが,緩歩動物における役割については未だ議論がある.そこで,我々は乾眠能力が相対的に弱いドゥジャルダンヤマクマムシ (Hypsibius dujaridini)のゲノムをリシーケンスし,高い極限環境耐性を持つヨコヅナクマムシ (Ramazzottius varieornatus)及び他の脱皮動物門の生物とのゲノム比較および乾眠前後の発現量解析を行なった.結果,緩歩動物特有な遺伝子ファミリーの進化を見出し,対象2種のクマムシにおける乾眠能力の違いはその遺伝子発現応答の違いによって一部説明されうることが明らかとなった.遺伝子水平伝播の割合は他の後生動物同様1~3%に限定され,緩歩動物の進化において大きな役割は持たないが,わずかながら乾眠関連の遺伝子が水平伝播によって獲得された例は存在した.そして,全ゲノム分子系統解析は緩歩動物+線形動物の姉妹群を支持する一方,遺伝子欠損パターンでは緩歩動物+節足動物を支持した.本発表ではこれらの結果を紹介し,極限環境耐性を可能とする分子メカニズムと脱皮動物門内での緩歩動物の系統関係について議論する.

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15:30-15:50
質量分析データと遺伝子発現データの統合による化合物アノテーションの試み

◯川島武士(国立遺伝学研究所)

近年になり、質量分析データと遺伝子発現データのどちらについても、多様な種についての解析結果が公開され利用できるようになってきている。そこで質量分析と遺伝子発現の双方について、種、属、科、目レベルのDifferential Screeningをin silicoで行うことで、化合物とその代謝酵素の関係を明らかにすることができるのではないかと考えられる。発表者の研究は始まったところで、未知化合物や未知タンパク質についての関連を調べるには至っていないが、現在までの解析状況と問題点についてご紹介したい。

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15:50-16:10
セマンティックネットワークを活用した医薬文書理解システムの構築

◯渡邊健太(東京工業大学)、小長谷明彦(東京工業大学)

本研究では,LODを用いて単語データの収集や表記揺れの吸収を行い,人間・コンピュータが文書を理解することを補助するような医薬文書理解システムを開発した.さらに,LOD間のデータ形式の差異吸収や分岐処理を可能とし,「単語のカテゴリが病気であった場合,病気に関するLODからデータを取得する」というような高度な情報検索を実現した.本システムは,LODチャレンジ2016にてDBpedia賞を受賞している.

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16:10-16:30
RDFデータからの特徴ベクトル生成

◯川島秀一、片山俊明(ライフサイエンス統合データベースセンター)

現在、様々な生命科学データベースがRDF形式で利用できるようになってきている。例えば、NBDCとDBCLSは共同で、RDFポータルを運営しているが、そこには現在200億トリプルを越えるRDFデータが蓄積されている。このようなRDFデータから新しい知識を得る試みとして、昨年度のBiHackathonにおいて、RDFのグラフから、DeepWalkソフトウェアを用いて、直接特徴ベクトルを生成する試みが提案された。これにより、遺伝子や病気といった異なる概念に属する対象が、同じ多次元空間上のベクトルとして表現されるため、様々な応用が考えられる。我々も、この手法を、いくつかのRDFデータセットから構築されたグラフに対して適用してみたので、報告したい。


フリーディスカッション(オープンバイオと共催)

第一部

20:00-22:00

日本のバイオデータベースの在り方について

・欧米との差別化について

・今後の展望について

第二部

3月25日 JAIST

10:30-12:00

・オープンデータの活用法について