第61回 人工知能学会分子生物情報研究会 (SIG-MBI)

共催 「分子ロボティクス研究会」2016年6月 定例研究会(東京)
共催 新学術領域「感覚と知能を備えた分子ロボットの創成(分子ロボティクス)」
「分子ロボティクス周辺研究への招待:非平衡物理現象からモデル細胞制御まで」
13:00-13:25 受付
13:25-13:30 Opening remarks
13:30-14:15 特別講演1
講師 武仲 能子 先生(産業技術総合研究所 機能化学研究部門 主任研究員)
「光による液晶中での微粒子運動:ソフトアクチュエータ開発を目指して」
液晶中での微粒子駆動に関する研究は多くあり,電気対流や液晶欠陥の相互作用,温度勾配,液晶中に分散させた光反応性分子による光反応などが駆動力として用いられてきた.本研究では,光反応性分子などを分散させていない純粋な液晶中で,光照射によって微粒子が運動する現象を見つけたので紹介する.この現象は,ネマチックーアイソトロピック転移点直下で観察され,光熱変換による液晶の微小な温度変化によって液晶の劇的な体積膨張が引き起こされた結果だと推察している.
14:15-14:20 5分休憩
14:20-15:05 特別講演2
講師 加納 ふみ 先生(東京工業大学 科学技術創成研究院 准教授)
「セミインタクト細胞リシール技術:病態モデル細胞への応用例」
人工多能性幹細胞iPS細胞や新規ゲノム編集技術CRISPR/Cas9システムの発展を受け,細胞そのものを操作し治療する「細胞治療」が実現可能になってきた.細胞を安全に操作するためには,ウイルスベクターなどに依存しないゲノム編集法や細胞内タンパク質分子導入法の開発が必要不可欠である.
本発表では,細胞膜の可逆的穿孔法セミインタクト細胞リシール技術を用いた新規細胞内分子導入法と,本方法を用いた病態モデル細胞の構築を紹介する.
15:05-15:15 10分休憩
15:15-16:00 特別講演3
講師 堀 豊 先生(慶応義塾大学 物理情報工学科 助教)
「フィードバック制御理論による遺伝子回路の設計とプロトタイピング」
望みの動特性を持つ遺伝子回路(遺伝子制御ネットワーク)を系統的にモデル化・解析・設計するためのフィードバック制御理論のフレームワーク,および回路を効率的に試作し実験・検証するための実験系を紹介する.特に本講演では,振動子回路の製作を例にとりながら,まず,制御理論のツールを用いて反応系のパラメタと振動特性の関係を解析する.その後,解析結果に基づいて振動子回路を設計し,マイクロ流路と無細胞タンパク質合成系を用いてパラメタを調整しながら望みの動特性を実際に達成するプロセスについて述べる.
16:00-16:05 5分休憩
16:05-16:30 一般講演1
石川 大輔(東京工業大学 情報理工学院 瀧ノ上研究室 PD)
「分子センシングマイクロシステム構築へのアプローチ」
細胞の構造,機能を模倣した人工システムは,脂質分子ベースの膜にイオンチャネル構造を導入したものが主であり,数ナノメートルサイズの分子を通過することは非常に困難である.
本発表では分子を感知できるシステム構築のために,非常に柔軟な設計性を有するDNAを材料として,分子を通すことが可能なほど大きな孔をもつ新規マイクロカプセルを紹介する.
16:30-17:00 一般講演2
庄司 観(東京農工大学 生命工学専攻 川野研究室 PD)
「ハイブリッド型分子ロボットへの応用を目指したliving batteryの開発」
本研究では,ハイブリッド型分子ロボットの創製を目指し,生物の持つ化学エネルギを用いて発電するLiving batteryを開発した.
また,脂質二重膜により電池を区切ることにより電池を絶縁し積層することに成功した.以上の結果より,化学エネルギを用いた本電池をハイブリッド型分子ロボットの電源とし応用できる可能性を示すことが出来た.