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第62回 人工知能学会分子生物情報研究会 (SIG-MBI)

第62回SIGMBI: 分子ロボティクスとマテリアルインテリジェンス
協賛: SIGNAC
2016年11月12日(土) 慶応義塾大学 日吉キャンパス 来往舎

世話人: 萩谷昌己(東大)

午前セッション: 分子ロボティクスとその知能

10:00~10:30 小長谷明彦(東工大)「分子ロボティクスの現状と今後の展開について」

生体分子を用いて「知能」と「感覚」を備えたロボットを創ることは可能か?アメーバ型分子ロボットおよびスライム型分子ロボットの開発を経て、分子ロボティクスの技術的困難さと可能性が見えてきた。本講演では、新学術領域研究での成果を踏まえて、今後の課題と展望について報告する。
10:30~11:00 菅原研(東北学院大)「分子ロボティクスのの新パラダイム」

分子ロボットが機能する場は文字通り分子スケールの世界である。そこでのロボティクスはマクロなスケールでのロボティクスと本質的に異なる。本講演では、従来のマクロなスケールでのロボティクスにおける知見との対比を通して、分子ロボティクスの意義について再考する。
11:00~11:30 鈴木泰博(名大)「学習する化学反応系について」

分子ロボットの知能への応用を目指した、化学反応系の抽象モデルをもちいた学習する抽象化学反応系について新学術領域でのこれまでの研究の成果について紹介する。また、実際のDNAをもちいた自己維持的な反応系において、環境の変動に追従する反応系の構築の実験の進捗についてもあわせて紹介したい。
11:30~12:00 丸中愉太(東大)・萩谷昌己(東大)・大下福仁(奈良先端大)

「群知能を用いた経路探索による機械学習」

各種の最適化問題や学習問題において、多数の分散的なエージェントの協調による創発過程を用いて解を探索する、群知能のアプローチが有効であることが知られている。本研究では、群知能による経路探索に着目し、神経ネットワーク様のグラフ上の経路を探索することによって教師あり学習を行う問題を新たに設定し、群知能の自己安定で分散的なアルゴリズムによる解法を提示する。

午後セッション: マテリアルインテリジェンス — ものに宿る知能

14:30~15:15 堀尾喜彦(東北大)「脳型コンピュータハードウェアの動向と課題」

ムーアの法則の終焉に伴い、新しい計算原理に基づくコンピュータが切望されている。その中で、近年の新型デバイスの登場により、脳に学んだ脳型コンピュータのハードウェア実装の可能性が大きく広がっている。本講演では、脳型コンピュータハードウェアの開発動向と課題について述べる。
15:15~16:00 川又生吹(東北大)・礒川悌次郎(兵庫県立大)・Ferdinand Peper(NICT)

「計算を行うゲルオートマトンの実現にむけて」

化学反応により望みのパターンで時間・空間的に発展し、計算を行う新しい枠組みをゲルオートマトンと呼ぶ。DNAとハイドロゲルを使ったゲルオートマトンについて、実験と理論の両面から最新の成果を報告するとともに、この枠組みを用いた計算モデルについても紹介する。
休憩
16:15~17:00 中嶋浩平(京大)「Physical reservoir computing for soft robots」

本講演では、近年、提案された新規情報処理概念であるphysical reservoir computingについて紹介する。この技術は、応用されるプラットフォームの物性・動力学的特性に応じて、その固有の威力を発揮する。この技術が「やわらかいロボット」と接続するとき、その身体はきわめて効率の良い計算資源として活用されることを見る。
17:00~17:30 成瀬誠(NICT)「フォトニック知能:意思決定を実現する極限光技術の創造」

IoT、CPS、ビックデータなど、実世界とサイバー空間を束ねる考え方が叫ばれ、一方、ポスト・シリコン・コンピューティングなど新規な物理プロセスを用いた研究が活発化し、「物理や実世界」と「計算や知能」の新たな学際融合の重要性が問われている。我々は「自然知能」を提唱し、例として強化学習を物理的に解決する「フォトニック知能」を提案した。これまでに、近接場光、単一光子、レーザーカオスを用いた意思決定課題に実験的に成功した。これらの研究では、光の集積性、省エネ性、量子性、高帯域性の極限での性質が生かされている。謝辞:本研究の一部はJSPS Core-to-Coreの助成による。

17:30~18:00 金成主(NIMS)「自然知能:新たな物理的計算能力の活用」

最近,GoogleやAmazonを筆頭に多くの企業,研究所,大学で人工知能の研究開発が盛んに行われている.その一方で,我々は既存のアルゴリズム的知能を超えた新たな物理的計算能力を活用できる「自然知能」というアプローチを提唱して来た.本講演では,物理現象で知的計算をする手法について紹介し,特に,意思決定問題を解く「綱引き原理」とその発展系について詳しく説明する.