月別アーカイブ: 2012年3月

第48回 人工知能学会 分子生物情報研究会(SIG-MBI)(第15回オープンバ イオ研究会と共催)

日時:2012年3月23日(金) 13:40より
          24日(土) 15:00まで(予定)

場所:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST) 知識科学研究科講義棟2F中講義室

内容:初日は SIG-MBI の研究発表です。特にテーマを限りませんので、奮って御応募下さい。

初日の発表希望者は、概要を以下の様式で佐藤 (ken@t.kanazawa-u.ac.jp) までお送り下さい。

著者(講演者に◯)、所属
代表者の連絡先
講演タイトル
講演概要(数行程度)
希望講演時間(分)

★ Subject: には必ず「発表希望」と御書き下さい。★

採択およびプログラム編成は世話人にご一任下さい。

二日目は、オープンバイオ研究会主体で、今年は
* バイオ版 Siri(仮称:クリックちゃん)開発について議論
* 4コマプレゼン(起承転結4枚のスライド)による発表
を中心に楽しく情報交換をしたいと考えています。

ここ1~2年で IBM の人工知能 Watson がクイズ王になり、iPhone に音声検索アシスタント Siri が搭載されるなど、大量情報をベースにしたクラウドのデータ統合処理と適切な回答にたどり着くための検索のインターフェイスが急速に進歩し身近になってきました。しかしバイオ分野ではちょっとした検索フォームをもつだけのデータベースが乱立し、適切な情報に辿りつくための統合的なシステムは、まだまだ開発途上です。

そこで、グランドチャレンジとして「Watson に対抗するバイオ版の Crick を開発する」という想定のもと、いま利用可能な要素技術や集積可能なデータを検討し、さらに専門家の問い合わせに応えるために今後必要となる課題を議論することで、近い将来には簡易版の「クリックちゃん」を、そう遠くない将来には「クリック先生」や何でも答えてくれる「クリック博士」を開発できるような未来を研究会のみなさんと模索できればと思います。

一見すると突拍子も無いテーマに思われるかもしれませんが、これを実現するためには大規模情報処理、クラウドコンピューティング、セマンティックウェブなど意味に基づいたデータの統合や推論、論文からの知識抽出を行うテキストマイニングや、学習セットとしてのアノテーション技術など、バイオインフォマティクスがこれから取り組むべき技術課題が山積しており、開発の過程で様々な途中成果が見込まれるゴール設定ではないかと考えています。

これとは別に、オープンバイオ研究会では参加者全員に「4コマプレゼン」形式による発表をお願いしています。内容はご自身の研究発表から、上記テーマに関連する技術調査や提案、何でも構いません。スライド4枚で簡潔に用意して頂ければと思います。

詳しい内容については、第15回オープンバイオ研究会のページ、
http://open-bio.jp/?meeting15
をご参照ください。皆様の積極的なご参加をお待ちしています。

JAISTへの道程:
http://www.jaist.ac.jp/general_info/access/

小松空港からJAISTへの移動について:
2010年12月1日から空港経由JAIST行きのバスが無くなってしまいましたが、
上記JAISTへの道程のページにある通り、JAIST送迎車が利用できるようになりました。
JAIST送迎車の利用を希望する方は、必ず下記の情報を佐藤までお知らせ下さい。
宿泊申込をされる方は、通信欄に書いて頂ければ結構です。
・利用する日
・飛行機の便名
・送迎車の便名(上記JAISTへの道程のページから辿れる送迎車運行表を参照)
・携帯電話の番号
但し、送迎車1便につき先着9名までなので、満席の場合はタクシー等に乗り合わせて
来て頂くことになります。タクシーに4人乗車すれば1人1500円程度で済みますので、
飛行機の便が確定している方は、事前に佐藤までメールでお知らせ下さい。同じ便に乗る方
同士で、互いに情報を交換できるように致します。

宿泊先:辰口温泉 まつさき旅館
〒923-1245 石川県能美市辰口町3-1 tel 0761-51-3111
注:宿泊料は約13000円です(朝夕食付き)。

宿泊の申し込みは以下のURLで受け付けています。
http://bioinfo.ec.t.kanazawa-u.ac.jp/~ken/sigmbi/reserve.html
30?40人程度のキャパシティなので、できるだけ早めに御予約下さい。
締め切りは、宿泊・講演申し込みともに3月9日(金)です。

研究会のみ参加(講演宿泊共になし)の場合:無料。参加登録の必要もありません。

問い合わせ先(世話人): 佐藤賢二 ken@t.kanazawa-u.ac.jp
金沢大学 理工研究域 電子情報学系

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金沢大学 理工研究域 電子情報学系
佐藤賢二 ken@t.kanazawa-u.ac.jp

発表一覧
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「バイオインフォマティクス」を超えて
◯小長谷明彦(東京工業大学大学院 知能システム科学専攻)

1990年にヒトゲノム配列解析プロジェクトが開始されてからすでに22年経過した.
この間,バイオインフォマティクスは急激に進展し,専門の学会を形成するに
いたった.それと共に,人工知能学会においてバイオインフォマティクス研究を
推進する意義の見直しが求められている.
本講演ではバイオインフォマティクスを超えるためのビジョンについて私見を
述べる.
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Linked Open Dataによる希少・難治性疾患のデータ統合
◯荻島創一(東京医科歯科大学 難治疾患研究所 生命情報学分野),
森田瑞樹(医薬基盤研究所),
宮本直(東京医科歯科大学 難治疾患研究所 生命情報学分野),
西村由希子(NPO知的財産研究推進機構),
田中 博(東京医科歯科大学 難治疾患研究所 生命情報学分野)

次世代シークエンスの急速な技術開発により、ライフサイエンス分野では大規
模な分子生物データが急増し、一方でその種類も多様化しており、こうした大
規模で多様なデータをいかに統合し、データドリブンな疾患研究を実現するか
が大きな課題となっている。データ統合のフレームワークとして、近年、Linked
Open Dataによるデータ統合が急速に進展している。Linked Open Dataでは
誰もが自由にデータを公開することができ、オープンなコラボレーションによ
るイノベーションを期待することができる。そこで、我々はこのLinked Data
により、希少・難治性疾患のデータの統合を進めている。我々はこれをLinked
Open Rare Disease Data (LORDD)とよんでいる。LORDDにより、研究者、
医師、製薬企業の希少・難治性疾患研究の加速することが期待される。本発表
では、LORDDによるサービスのひとつとして、希少・難治性疾患研究の動向を
その疾患に関する発表論文により調査するサービスを紹介し、患者の研究者、
医師、製薬企業、行政との連携による希少・難治性疾患研究の想定されるユース
ケースを示す。
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生物学辞書のLinked Open Data化とその応用
◯加藤 文彦 (1),南 佳孝 (1),神保 宇嗣 (2),川本 祥子 (3),武田 英明 (4)
所属: 1. 情報・システム研究機構 新領域融合研究センター,
2. 東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 広域システム科学系
3. ライフサイエンス統合データベースセンター,4. 国立情報学研究所

生物種名,すなわち学名や和名は生物学分野において多種多様なデータを
結びつけるキーとされている.しかし,実際には学名の表記揺れや変更,
複数の和名と学名の関係などにより,単純には結びつかない.著者らは,
日本の出版物や博物館所蔵標本等の情報を基に構築された生物種名と
学術用語の辞書である生物学辞書 (BDLS) をLinked Open Dataとして再
構成し,LODAC BDLSとして公開した.本発表ではその試みと応用例に
ついて,特に生物種名に焦点をあてて説明する.
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動物学データのRDF作成に向けて
◯川島武士(沖縄科学技術大学院大学 Marine Genomics Unit)

配列解読の技術の進展により、ゲノム配列を中心に多様な動物データが大量に
公開されるようになってきた。これらのデータを解析する際には、かつてのよ
うな分子生物学的な視点にとどまらず、進化学、行動学、生態学などの生物学
にとどまらず、地質や宇宙物理のデータとの関連性を考慮する必要性が生じて
いる。これらの動物学データの急速な増加と多様性に対応するために、動物学
データのRDF化とそのための具体的な案を示したい。
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メタゲノム環境オントロジーおよび細菌の培地オントロジーの開発
◯川島秀一(東京大学医科学研究所)

昨今のDNAシーケンサーの飛躍的な発達によって、環境サンプルに含まれるす
べての微生物集団のゲノムDNAを解読するメタゲノム解析が広く行われるよう
になっている。メタゲノムデータには多くの難培養菌を含む、未知微生物のゲ
ノム情報が含まれているため、サンプルに関する様々なメタ情報を整備するこ
との重要性が指摘されている。
このような背景から、ライフサイエンスデータベース統合推進事業・統合化推進
プログラムの「ゲノム・メタゲノム情報を基盤とした微生物DBの統合」プロジェ
クトでは、微生物ゲノム・メタゲノム情報の高度な統合を目指して、各種オント
ロジーの整備を進めている。その中で、すでに公開されたメタゲノムサンプルの
環境情報を記述するために開発されているオントロジー、MEO (Metagenome
/Microbes Environment Ontology) および、現在、構想中の細菌の培地情報の
オントロジーについて報告する。
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