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第69回分子生物情報(SIG-MBI)研究会(慶応大学矢上キャンパス,11月23日)

人工知能学会合同研究会(参加費無料、事前登録推奨、当日受付あり)

開催日 2019年11月23日(土)10:00 - 12:00 15:00 – 17:00
開催場所 慶應義塾大学矢上キャンパス

主催 人工知能学会分子生物情報(SIG-MBI)研究会
共催 分子ロボティクス研究会
分子ロボット倫理研究会

合同研究会サイト   https://www.ai-gakkai.or.jp/sigconf/

テーマ:分子ロボティクスの医薬応用への現状と課題

プログラム

10:00-10:30 小長谷明彦 (東京工業大学)
「分子ロボティクス:今後の展望と課題」
2010年3月に分子ロボティクス研究会が発足してからほぼ10年の歳月が過ぎようとしている。2012年度には新学術領域研究「分子ロボティクス」が立ち上がり、分子ロボティクスの基礎研究は大きく広がった。その後、NEDO「分子人工筋肉」、JST「分子ロボット倫理」などの後継プロジェクトを中心に分子ロボティクスの研究は精力的に進められているが、その多くは、未だ基礎研究の段階から抜け出せていない。分子人工膵島ロボットの創生を目指した科研費プロジェクトは、目的志向を明確にした分子ロボット研究プロジェクトであり、今後の発展に期待したい。

10:30-11:00 招待講演 野口洋文 (琉球大学)
「糖尿病治療における移植・再生医療の現状と展望」
糖尿病治療における移植療法として、膵臓をそのまま移植する「膵臓移植」と膵臓から膵島を分離して移植する「膵島移植」がある。膵島移植は2004年に我々のグループが日本で臨床膵島移植を開始しており、良好な成績を収めているが、深刻なドナー不足の状況にある。ドナー不足解消のためブタ膵島を用いた「異種移植」の研究もされているが、良い成績が出ていないのが現状である。再生医療研究も活発に行われているが、インスリン分泌細胞への分化誘導法が確立されておらず、いまだ研究段階であるのが現状である。本研究会では膵島移植の現状と問題点を示すとともに、最先端の糖尿病治療研究について紹介する。

11:00-11:30 湯川 博 (名古屋大学)
「 量子ナノ光学に基づく最先端イメージング診断技術の医学応用 」
私は量子サイズ効果に基づく非常に優れた光学特性から、通信・映像分野において既に実用化されている 量子ドットや肝臓のMRI造影剤として臨床応用されている優れた磁気特性を有する磁性ナノ粒子などの 量子ナノ材料に注目し、細胞やエクソソームに対するin vivoイメージング手法の構築に取り組んできた。 本講演では、幹細胞や再生細胞に加え、膵島移植における膵島細胞、工学的な手法により開発した人工 膵島マシンに対するin vivo蛍光イメージングの最新の成果について紹介する。


11:30-12:00 池田 将 (岐阜大学)
「分子ロボット創製に向けた超分子ナノ構造体型部品の多成分化」
分子レベル、ナノスケール、マクロスケールなど各階層における、構造と性質の相関を解明し制御することは、新たな機能を有する分子ロボットの設計につながる。我々は、精密な分子設計に基づき、生体環境においても自律的に構造・機能制御される新しい超分子ナノ構造体の開発と分子ボロットの部品としての活用を目指している。本講演では、ペプチドおよび核酸からなる超分子ナノ構造体を混合した多成分化に関する最近の研究結果を紹介する。

昼休み 

15:00-15:20 川又 生吹 (東北大学)
「筒状DNAオリガミ構造によるリポソーム内外の分子拡散にむけて」
リポソームはリン脂質の二重膜(脂質二重膜)で包まれた球状の小胞であり、薬剤キャリアや細胞モデルとしての応用が期待されている。 脂質二重膜はリポソームの内外を隔てており、親水性の分子が膜を超えて拡散することを防ぐバリアとなる。
本研究では、直径が6 nm未満の分子を通すことができ、かつ分子を拡散させるタイミングを制御する機構を備えたナノ構造体の作製を目標としている。 そのために、ナノスケールの分子形状を自由に合理設計可能なDNAオリガミ技術を使い、蓋を備えた筒状ナノ構造体を設計した。 発表では、最新の実験結果について議論したい。

15:20-15:40 梅田 民樹 (神戸大学)
「リポソーム凝集体の形状と力学的性質の解析」
リン脂質が形成する脂質二分子膜小胞をリポソームと呼ぶ。近年,複数のリポソームが連結したリポソーム凝集体の作成が可能になってきた。リポソーム凝集体は脂質膜で区切られた複数のコンパートメントからなり、分子ロボットの材料として様々な応用の可能性があるが、その性質はまだ分かっていないことが多い。本講演では、膜張力と浸透圧、弾性を考慮した簡単な力学モデルを用いた形状と力学的性質の解析の試みについて報告する。

15:40-16:00 我妻 竜三 (東京工業大学)
「DNAオリガミと水クラスターの相互作用」
近年の設計ソフトウェアの登場により、1ミクロン以下の微小な構造体をDNAオリガミによって自由に作成できるようになった。しかしながら、主鎖に一塩基あたり1つの燐酸基をもつDNAオリガミは強い負電荷をもつ。我々は分子動力学シミュレーションによってこの影響について調べてきた。興味深いことにDNAオリガミの周辺には綿飴状のクラスターが覆っていることが判明した。本講演では水クラスターの発生がDNAオリガミに対して与える効果について解析した結果を紹介する。

16:00-16:20 Arif Pramudwiatmoko (Tokyo Institute of Technology)
“Creating Biomolecular 3D Object Mechanics with Spring and Particles with Virtual Reality Simulation”
The mechanics of most of biomolecular object plays important roles in the cell morphology and cellular processes. The mechanical properties of some biomolecules have already been measured in the past works. However, it is hard to obtain an intuitive understanding of physical properties of an object only by using numbers. Virtual reality (VR) technology can become the right tool to realize it. Taking advantage of the parallel processing of multi-core CPUs and GPUs, particle simulation system is able to utilize tens of thousands of particles to form biomolecular objects. We develop a new unified particle object model using springs which allows its parameters to be tuned to mimics the mechanical properties of a biomolecular object. Flexural rigidity of the object and viscosity of the solution are shown in this model.

16:20-16:40 Gregory Gutmann
“Creating a Comfortable Networked VR Experience to Enable Larger Interactive Simulations”
Our past work on interactive VR simulations enabled a hands-on experience with atomic level matter such as tubulin dimers and short DNA helix. This provided a unique and intuitive experience which is not normally possible due to the scale of atoms. Recently we have been working on scaling up the VR experience with a client and server approach. This will enable the user to interact with larger and more complex molecules, to increase the possibilities of what can be experimented with in a hands-on manner. The major challenge in this work was creating a smooth experience between the compute server and VR client. To solve this, we have utilized regression-based extrapolation methods for user motion prediction, so that we can send the client’s expected future position to the server to create an update based on. Then when this simulation update makes it back to the client it is in line with their new position, creating an experience that feels natural and responsive.

16:40-17:00 Discussion

17:00 閉会

講演募集中
  発表申込み締切     2019年9月23日
  アブストラクト締切   2019年10月31日

申込み先:
  kona @c.titech.ac.jp (空白を除いてください)
  subject欄に sigmbiで講演希望
  と記述してください。

講演者名  (複数の場合は講演者に○をつけてください)
所属
講演タイトル
講演アブストラクト (200文字程度)

第68回人工知能学会分子生物情報研究会(SIG-MBI)@JAIST,2019/3/9

第68回 人工知能学会 分子生物情報研究会(SIG-MBI)(オープンバイオ研究会と共催)(第57回 情報処理学会 バイオ情報学研究会と連続開催)

日時:2019年3月9日(土) 14:00より
         10日(日) 12:00まで(予定)

場所:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST) 知識科学研究科講義棟2F中講義室

内容:特にテーマを限りませんので、奮って御応募下さい。

初日の発表希望者は、概要を以下の様式で佐藤 (ken@t.kanazawa-u.ac.jp) までお送り下さい。

 著者(講演者に◯)、所属
 代表者の連絡先
 講演タイトル
 講演概要(数行程度)
 希望講演時間(分)

 ★ Subject: には必ず「発表希望」と御書き下さい。★

採択およびプログラム編成は世話人に御一任下さい。

昨年と同様に、今回も同じ場所で3つの研究会を連続して開催します。バイオ
情報学研究会は3月8日(金)から9日(土)にかけて、分子生物情報研究会
は3月9日(土)に、オープンバイオ研究会は3月10日(日)に開催します。
2泊すれば3つの研究会に参加でき、基礎から応用まで幅広い発表が聞けると
思いますので、奮って御参加下さい。(開催順が昨年と異りますので御注意下
さい)

オープンバイオ研究会については、詳しくはhttps://github.com/open-bio-japan/website/wiki/meeting23をご参照下さい。

バイオ情報学研究会については、詳しくはhttp://www.ipsj.or.jp/kenkyukai/event/bio57.htmlをご参照下さい。

JAISTへの道程:
  https://www.jaist.ac.jp/top/access/

小松空港や小松駅からJAISTへの移動について:

  注)小松空港からJAISTへの直行便は廃止され、小松駅からJAISTへの便に統合されました。
 JAIST送迎車(上記URL参照)の利用を希望する方は、必ず下記の情報を佐藤までお知らせ下さい。
 宿泊申込をされる方は、通信欄に書いて頂ければ結構です。
 ・利用する日
 ・飛行機または列車の便名
 ・送迎車の便名(上記JAISTへの道程のページから辿れる送迎車運行表を参照)
 ・携帯電話の番号
 但し、送迎車1便につき先着9名までなので、満席の場合はタクシー等に乗り合わせて
 来て頂くことになります。タクシーに4人乗車すれば1人2000円程度で済みますので、
 飛行機の便が確定している方は、事前に佐藤までメールでお知らせ下さい。同じ便に乗る方
 同士で、互いに情報を交換できるように致します。

宿泊先:辰口温泉 まつさき旅館
    〒923-1245 石川県能美市辰口町3-1 tel 0761-51-3111
  注:宿泊料は約13000円です(朝夕食付き)。
  追記:3月9日の宿泊料は約16000円です(朝夕食付き)。

宿泊の申し込みは終了しましたが、若干名なら予約可能ですので、世話人まで
御連絡下さい。

研究会のみ参加(講演宿泊共になし)の場合:無料。参加登録の必要もありません。


問い合わせ先(世話人): 佐藤賢二 ken@t.kanazawa-u.ac.jp
金沢大学 理工研究域 生命理工学系

プログラム
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14:00-14:50
分子ロボット創薬への道

◯小長谷明彦(東京工業大学)

生体分子を集積化することで、システムとして動作する分子ロボットを自己組織化させることが可能となってきた。分子ロボットは生体分子から構成されているため生体との親和性が高い。本講演ではこのような特性を活かした「分子ロボット創薬」の可能性について論じる。

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14:50-15:15
“原子=人”とみてみることから垣間見える代謝ネットワークと社会的ネットワークの比喩的類似性

◯太田潤(岡山大学)

代謝ネットワークのグローバルな構造の解析がなされてきている。それらの解析は、多くの場合、代謝ネットワークを代謝産物のネットワークとみることを前提として行われている。それに対して、第65回の本研究会(昨年3月)では、代謝ネットワークを原子のネットワークとみる考え方があり得ることを紹介した。今回は、代謝ネットワークを原子のネットワークとみる考え方と同時に着想した、代謝ネットワークを社会的ネットワークと比喩的に類似するものとみる考え方を紹介する。この考え方における、代謝ネットワークと社会的ネットワークの対応関係は、1個の原子が1人の人に対応すると考えることから導かれる。社会的ネットワークがスモールワールドネットワークであるとされるときのノードとしての人と人の間の距離が原子ネットワークとしての代謝ネットワークの何に対応するかに関する考察も述べる。

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15:15-15:45
E3結合部位予測のための崩壊型ギブス・サンプラーDegSampler

◯丸山修(九州大学大学院芸術工学研究院)、松崎芙美子(九州大学生体防御医学研究所)

E3ユビキチン・リガーゼが結合する基質の部位を予測する配列モチーフを
推定する崩壊型ギブス・サンプリング・アルゴリズム DegSamplerを提案する.
DegSamplerは次の特徴を有している:
(1) アミノ酸の化学特性に基づく尤度関数を有している.
(2) モチーフ出現位置の事前分布としてタンパク質配列の各位置のdisordernessを利用する.
(3) 崩壊型であるため計算効率がよい.
36個のE3に対して計算機実験を行い既存手法よりもよい予測精度を得ている.

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15:45-16:15
クモ類網羅的シーケンシングによるクモ糸超高機能発現メカニズムの解明

○荒川和晴(慶応義塾大学先端生命科学研究所)

ImPACT鈴木プロジェクトでは、人工クモ糸による新規産業の樹立に向けて4年間
に渡り研究開発が行われた。本講演では、主に我々の研究室が担当したクモ糸
高機能発現メカニズム解明のための網羅的シーケンシングを中心に、その成果
を報告する。本プロジェクトで得られた1,000種類を超えるクモ糸を始めとした
構造タンパク配列と、250以上の構造タンパクの網羅的物性データについて、近
日中にオープンに公開する予定である。

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第67回人工知能学会分子生物情報研究会(SIG-MBI)@慶應矢上キャンパス11月23日(金)

人工知能学会合同研究会(参加費無料、事前登録推奨、当日受付あり)

開催日 11月23日(金)9:20-12:00 15:00-17:00
開催場所 慶應義塾大学矢上キャンパス

主催 人工知能学会分子生物情報(SIG-MBI)研究会
共催 分子ロボティクス研究会
分子ロボット倫理研究会

参加登録先  https://www.ai-gakkai.or.jp/sigconf/sigconf2018/registration/

テーマ:分子ロボティクスの医薬応用への可能性を探る

プログラム

9:20-10:00 分子ロボットを”Beyond the Pill”の視点から考える
小長谷明彦 (東京工業大学,情報理工学院)
近年、製薬業界では“Beyond the pill”というコンセプトが”個別化医療”や”AI創薬“と並んで今後の製薬ビジネス展開において重要なキーワードとして認識されつつある。従来型の薬開発では今後、投下資本収益率が低くなるという見通しから、情報通信技術(ICT)を活用したデジタルヘルスケアを含む革新的創薬技術へのパラダイムシフトが模索されている。現在の創薬の問題点の一つはバイオテクノロジー技術によって作られた生物学的製剤のように一部の疾患には有効であるが非常に高価な薬が増えてきていることにある。分子ロボット技術を活用することで様々な状況において適切に判断し、適切な処方をする「スマートな薬」を作ることはできないだろうか?

10:00-10:40 招待講演1:膵島移植・再生療法の現状と展望
野口洋文 (琉球大学大学院医学研究科,再生医学講座)
局所麻酔下にて膵島を注入する「膵島移植」は糖尿病に対する治療法のひとつとして実施されている。日本では2004年に我々のグループが臨床膵島移植を開始し、良好な成績を収めているが、深刻なドナー不足の状況にあり膵島移植の恩恵を受けられる患者はごく限られている。また、インスリン離脱を達成するには複数回移植が必要であり、膵臓移植よりもドナーを多く必要とする点が問題である。そのため、再生医療研究が活発に行われているが、インスリン分泌細胞への分化誘導法が確立されておらず、いまだ研究段階であるのが現状である。本研究会では膵島移植の現状と問題点を示すとともに、最先端の糖尿病治療研究について紹介する。

10:40-11:10 DNAナノテクを用いた細胞モデルの力学的制御
柳澤実穂 (東京農工大学,物理システム工学専攻)
細胞膜モデルとして汎用されるリン脂質膜小胞(リポソーム)は、その高い生体適合性ゆえに、内包した薬剤を輸送する医薬品(ドラッグデリバリーシステム)や化粧品の材料として広く汎用されてきた。しかし、従来の膜のみからなるリポソームは、膜が外部との浸透圧差等によって壊れやすく、中身が漏出しやすいという問題があった。我々は最近、DNAナノテクノロジーにより細胞骨格様の構造を膜へ付与することで力学的に補強し、壊れにくくすることに成功した。本研究会では、DNAナノ構造の付与による細胞モデルの力学的制御法について紹介する。

11:10-11:40 自律性をもった超分子ナノ構造体の創製
池田将 (岐阜大,化学・生命工学科)
分子レベル、ナノスケール、マクロスケールなど各階層における、構造と性質の相関を解明し制御することは、新たな機能を有する材料の設計につながる。我々は、特定の環境に応答する化学反応性人工有機分子部位を生体分子に組み込む精密な分子設計に基づき、生体環境においても自律的に機能制御される新しい超分子ナノ構造体の開発を目指している。本講演では、環境に応答して構造変化するペプチドおよび核酸からなる超分子構造体に関する最近の研究結果を報告する。

11:40-12:00 リポソーム膜に局在可能な機能性DNAオリガミの開発
川又生吹 (東北大学,ロボティクス専攻)
リン脂質の二重膜でできたマイクロサイズの小胞(リポソーム)は薬物キャリアとしての応用が期待されているものの、膜のバリア能が大きいため目的サイズの分子を通過させる人工の孔をあけることは困難である。
本発表では、合理設計された筒状DNAオリガミナノ構造をリポソームに局在化させ、蛍光分子をリポソーム内外へ通過させる技術を紹介する。
さらに特定条件下で薬物を放出するスマートなドラッグデリバリーのモデル系へ発展させるために、分子シグナルに応答して開閉可能な蓋を備えた機能化DNAオリガミの開発に関する最近の研究結果を報告する。

13:20-14:30 【合同企画】優秀賞記念講演(シンポジウムスペース)

15:00-15:20 ベクシル凝集体の形状の数理モデルによる解析
梅田民樹 (神戸大学,海事科学研究科)
水中で脂質が形成する袋状二分子膜をベシクルと呼ぶ。ベシクルは大きさが数十nmから数百mmで,構造や大きさが生体膜と類似していることから生体膜モデルとして注目されているとともに,薬物送達運搬体としての利用など医療面での応用例も報告されている。ベシクルは浸透圧により,また,タンパク質の作用で様々な形状変化を起こすが,その形状は原理的には膜の弾性に基づく数理モデルで説明可能と考えられている.本講演では,近年,応用面でも注目されているベシクルを連結させたベシクル凝集体に着目し,その形状の数理モデルによる解析の試みについて報告する。

15:20-15:40 DNAオリガミ全原子モデルのMDシミュレーション
我妻竜三, 小長谷明彦 (東京工業大学,情報理工学院)
本講演ではドラッグキャリアとして開発応用研究が進められ始めたDNAオリガミの全原子シミュレーションの基礎的な手法を紹介します。DNAオリガミはM13ファージの単鎖DNAに20ー30塩基のステプル配列を混合して生成するナノ構造体であり、様々なキャリア構造が試験されています。こうした構造特性の評価には従来CanDoのように剛体系モデルが使用されてきました。これに対して、われわれの開発した全原子シミュレーションでは溶媒中のイオン環境と実験観察条件に使用されているマイカ基板の存在下における高精度の分子ロボット設計と動特性の予測評価に使用することができるという特徴があります。

15:40-16:00 Experimenting with Molecular Objects in Virtual Reality
Greg Gutmann, 小長谷明彦 (東京工業大学,情報理工学院)
Alongside of the recent efforts by biologists to design molecular machines, we have been developing a virtual reality (VR) system to be used in prototyping new ideas and testing. The motivation comes from the challenges involved with directly viewing and visualizing matter at the nanometer level, and the time required for traditional simulation runs. By using our VR system, we can visualize and interact with the simulated molecular objects as if they were the size of the real-world objects that we interact with daily. In addition, parameters can be tuned live. However, there are some challenges when using physical interactions with soft matter. For example, on interaction it takes time for the users force on the object to propagate across the material. We have been testing solutions such as decreasing the time steps and using alternative methods of propagating the hands forces which will be looked at here.

16:10-16:30 Haptic Interaction for Hand Tracking 3D User Interface
Arif Pramudwiatmoko, 小長谷明彦 (東京工業大学,情報理工学院)
Hand tracking 3D user interface provides natural hand interaction with virtual objects in a computer simulation environment. We have implemented haptic rendering facilities into the hand tracking user interface. Small finger clamping and vibrating devices were attached to each finger to provide feedback when the hand touched an object in the simulation. Implemented using three different graphic frameworks, we postulated haptic feedback on molecular objects into vibration frequency, vibration amplitude, and pressure strength parameters. Our implementation has succeeded in providing a nuance to grip molecular objects in an immersive virtual reality environment.

16:30-17:00 量子ナノ材料による移植幹細胞in vivoイメージングと再生医療への貢献
湯川博 (名古屋大学,先端ナノバイオデバイス研究センター)
我々は、量子サイズ効果に基づく非常に優れた光学特性から通信・映像(4K・8Kディスプレイ)分野において既に実用化されている量子ドット(QDs)に注目し、再生医療における移植幹細胞in vivoイメージングに取り組んできた。本手法は、幹細胞や再生細胞を移植する再生医療の数多の領域に応用展開が可能であり、これまで不明であった移植後の幹細胞・再生細胞の生体内動態を明らかにしつつある。本講演では、これまで確立してきた量子ナノ材料によるiPS細胞イメージング技術に加え、最新の成果として、AMEDからの支援による再生医療実現拠点ネットワークプログラム技術開発個別課題の共同研究成果についても紹介したい。

第66回 人工知能学会 分子生物情報研究会(SIG-MBI)

2018年5月のSIG-MBI研究会を下記の通り、分子ロボティクス研究会と共催します。

一般講演(20-30分)または学生講演(10-15分)を1件募集いたしますので,是非ご応募下さい(先着優先). 多くの皆様のご参加をお待ちしています.

「分子ロボティクス研究会」2018年5月 定例研究会(東京)
主催:計測自動制御学会 分子ロボティクス調査研究会
共催:人工知能学会 分子生物情報研究会 (SIG-MBI)

日時 2018年5月26日(土)13:30-17:00
場所 東京工業大学 田町CIC(キャンパス・イノベーションセンター)
リエゾンコーナー508(A,B)
アクセス JR田町駅下車2-3分(http://www.titech.ac.jp/maps/tamachi/)
参加費 無料

世話人 堀 豊(慶應義塾大学 理工学部 物理情報工学科)
yhori@appi.keio.ac.jp

なお,研究会後,懇親会(実費有料)の開催を予定しております.
参加を希望される方は,以下の懇親会参加登録フォームから「5月17日」までにお申し込みください.
https://goo.gl/forms/tTMUGh7bkEHGGQZx1

——— 研究会プログラム(暫定) ———
「分子ロボティクス研究会」2018年5月 定例研究会(東京)
主催:計測自動制御学会 分子ロボティクス調査研究会
共催:人工知能学会 分子生物情報研究会 (SIG-MBI)

13:00-13:25 受 付
13:25-13:30 Opening remarks

13:30-14:20 特別講演
講師 宮廻 裕樹 先生
「電子線によるバーチャル電極ディスプレイを用いた分子操作技術」(仮題)

14:20-14:30 休 憩

一般講演
14:30-15:00 光山 隼史(慶應義塾大学 土居・藤原研 D2)
15:00-15:30 岡野 太治(中央大学 鈴木研 助教)

15:30-15:45 休 憩

15:45-16:15 一般講演 (20-30分程度) または 学生講演 (10-15分程度)

学生講演
16:15-16:30 小塚 太資(慶應義塾大学 内山・堀研 M1)
「細胞間分子通信により制御される細胞集団の外乱応答特性の解析」(仮題)
16:30-16:45 多田 あすか*、平谷 萌恵 (*発表者.東京農工大 川野研 M1)
「DNAコンピューティングとナノポアによる一分子操作」
16:45-17:00 林 知希 (慶應義塾大学 尾上研 M1)

17:00-      移 動
17:30-19:30 懇親会@田町駅付近
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第65回 人工知能学会 分子生物情報研究会(SIG-MBI)

第65回 人工知能学会 分子生物情報研究会(SIG-MBI)(オープンバイオ研究会と共催)(第53回 情報処理学会 バイオ情報学研究会と連続開催)

日時:2018年3月8日(木) 14:00より
9日(金) 12:00まで(予定)

場所:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST) 知識科学研究科講義棟2F中講義室

内容:特にテーマを限りませんので、奮って御応募下さい。

初日の発表希望者は、概要を以下の様式で佐藤 (ken@t.kanazawa-u.ac.jp) までお送り下さい。

著者(講演者に◯)、所属
代表者の連絡先
講演タイトル
講演概要(数行程度)
希望講演時間(分)

★ Subject: には必ず「発表希望」と御書き下さい。★

採択およびプログラム編成は世話人に御一任下さい。

昨年と同様に、今回も同じ場所で3つの研究会を連続して開催します。分子生
物情報研究会は3月8日(木)に、オープンバイオ研究会は3月9日(金)に、
バイオ情報学研究会は3月9日(金)から10日(土)にかけて開催します。
2泊すれば3つの研究会に参加でき、基礎から応用まで幅広い発表が聞けると
思いますので、奮って御参加下さい。

オープンバイオ研究会については、詳しくはhttp://open-bio.jp/をご参照下さい。

バイオ情報学研究会については、詳しくはhttp://www.ipsj.or.jp/kenkyukai/event/bio53.htmlをご参照下さい。

JAISTへの道程:
https://www.jaist.ac.jp/top/access/

小松空港や小松駅からJAISTへの移動について:

注)小松空港からJAISTへの直行便は廃止され、小松駅からJAISTへの便に統合されました。
JAIST送迎車(上記URL参照)の利用を希望する方は、必ず下記の情報を佐藤までお知らせ下さい。
宿泊申込をされる方は、通信欄に書いて頂ければ結構です。
・利用する日
・飛行機または列車の便名
・送迎車の便名(上記JAISTへの道程のページから辿れる送迎車運行表を参照)
・携帯電話の番号
但し、送迎車1便につき先着9名までなので、満席の場合はタクシー等に乗り合わせて
来て頂くことになります。タクシーに4人乗車すれば1人2000円程度で済みますので、
飛行機の便が確定している方は、事前に佐藤までメールでお知らせ下さい。同じ便に乗る方
同士で、互いに情報を交換できるように致します。

宿泊先:辰口温泉 まつさき旅館
〒923-1245 石川県能美市辰口町3-1 tel 0761-51-3111
注:宿泊料は約13000円です(朝夕食付き)。

宿泊の申し込みは以下のURLで受け付けています。
http://bioinfo.ec.t.kanazawa-u.ac.jp/~ken/sigmbi/reserve.html
30〜40人程度のキャパシティなので、できるだけ早めに御予約下さい。
締め切りは、宿泊・講演申し込みともに3月2日(金)です(延長しました)

研究会のみ参加(講演宿泊共になし)の場合:無料。参加登録の必要もありません。

問い合わせ先(世話人): 佐藤賢二 ken@t.kanazawa-u.ac.jp
金沢大学 理工研究域 電子情報学系

発表予定者リスト(順不同・順次追加します)

—————–
14:00-14:40
分子ロボット倫理:何故、今、ガイドライン策定を必要とするのか?

◯小長谷明彦(東京工業大学)

分子ロボティクスの研究は日進月歩であり、新学術領域研究「分子ロボティク
ス」(2012-2016)終了後も後継プロジェクトを中心に様々な技術革新が続いて
いる。分子ロボットの応用領域の一つに分子ロボット創薬や分子ロボット再生
医療が挙げられているが、生体に投与するためには「分子ロボットガイドライ
ンの策定」が不可欠である。将来的なガイドライン策定に向けた道筋について
述べる。

—————–
14:40-15:10
新代謝経路発見のための仮想代謝ネットワーク生成について

○太田潤(岡山大学)

新酵素反応・代謝経路の候補を挙げるために、既知の酵素反応の性質を一部保
持する仮想反応を作り、それらを含む仮想代謝ネットワークで経路計算を行う
アイディアを2007年から順次発表してきた。この実現に必要な、多数の仮想反
応から実際に起こり得る反応を選択するステップにAIを使えばよいという示唆
をAPBC2018でいただいた。自ら解きたいが共有すべき課題でもあると思うので、
仮想代謝ネットワークとその分類の考え方を、そこに至った過程も含めて紹介
する。

—————–
15:10-15:20 休憩
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15:20-15:40
マルチオミクス解析で迫る造網性蜘蛛の糸デザイン

◯河野暢明1・吉田祐貴1・藤原正幸1・中村浩之2・大利麟太郎2・篠原麻夏2・
Daniel Pedrazzoli2・冨田勝1・荒川和晴1
1:慶應義塾大学先端生命科学研究所
2:Spiber(株)

造網性の蜘蛛の中でもコガネグモ上科に属する蜘蛛は多様な性質の蜘蛛糸を場
面に合わせて使い分けており、その性質や多様性は生態学的・産業的・進化的
に沢山の興味を引きつけている。しかしながら物性の多様性と糸タンパクの組
成との関係性は未だに不明瞭であり、またその能力がクモ全体でどれほど保存
されているのかは知られていない。そこで我々はコガネグモ上科の中でも大型
で日本標準種のオニグモのゲノムを初めて整備し、transcriptomeやproteome
解析を組合わせたマルチオミクス解析による蜘蛛糸物性の関連因子を探索し、
その進化的保存性を見た。本発表ではそこで得られた蜘蛛糸遺伝子の特徴や糸
物性に関与する因子に関して紹介する。

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15:40-16:10
比較ゲノム解析による極限環境微生物の紫外線耐性関連遺伝子の網羅的探索

◯荒川和晴(慶應義塾大学先端生命科学研究所)

オゾン層形成以前の太古地球では太陽から放出される宇宙線や紫外線が降り注
ぎ、生命の地表進出を妨げる一因になっていたと考えられる。同様の環境は地
球外惑星においても普遍的であり、生命の起源や進化、また、地球外生命の探
索や進出などといったアストロバイオロジーの各論において、生命の紫外線耐
性機構は避けて通れない問題である。微生物の紫外線耐性は長年に渡り、主に
紫外線耐性菌Deinococcus radioduransの解析を通じてこの生物が持つ色素や高
いDNA修復能力の関与が示唆されてきたが、近年のノックアウト解析の結果いず
れもが否定され、現在では細胞内マンガンの酸化還元機構が有力な仮説として
提唱されている。だが、D. radioduransのみに着目した解析では比較解析が困
難である点から限界がある。そこで、我々はKocuria・Arthrobacter属の近縁な
がらも、大腸菌レベルの低い紫外線耐性からD.radioduransに匹敵するまでの高
い紫外線能力まで幅広く耐性能が分布する24株の微生物(線量300J/m2でUV-C
254 nmを照射した時の生存率が約0.001%から50%と大きく異なる)をアメリカ大
陸の砂漠から単離し、これらの全ゲノム解析によって産生する色素及びマンガ
ン代謝関連酵素が耐性に寄与している可能性を、遺伝子レベルの系統樹を用い
た決定木解析及び比較ゲノム解析によって探索した。その結果は、現状細胞内
マンガンの酸化還元仮説を支持している。

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16:10-16:30
Meta-analysis of hypoxic transcriptomes from public databases

◯坊農秀雅(情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設 
ライフサイエンス統合データベースセンター)

公共遺伝子発現データベース(DB)、NCBI Gene Expression OmnibusとEBI
ArrayExpressには、従来のマイクロアレイによる発現データだけでなく、次世
代シークエンサーから得られたトランスクリプトーム配列解読(RNA-seq)によ
る発現データも徐々に蓄積しつつあり、その利用価値が高まっている。
我々は、公共DB中の遺伝子発現データをメタ解析することによって、実験グルー
プや実験条件が違っていても、常酸素に比べて低酸素下で発現が変化する遺伝
子群を見出してきた。具体的には、低酸素に関係する発現データが多数登録さ
れている生物種であるヒトとマウスにおいてそれぞれ、同一のマイクロアレイ
プラットフォーム(Affymetrix GeneChip)において低酸素刺激前後のデータを
選び出し、さまざまなグループによる多様な実験条件下で遺伝子発現が変化
(発現上昇/下降)する遺伝子群の抽出を行い、生物種ごとに得られたデータ
を可視化してきた。さらに、RNA-seqによる低酸素刺激によるトランスクリプ
トームデータが公共DB中に蓄積してきたことからその検討を行い、ヒト培養細
胞のみではあるが複数の実験グループによるデータが得られた。それらに対し
て同様に発現定量し、マイクロアレイによるそれとの比較検討を行ったので、
その結果を報告する。
Ref: https://doi.org/10.1101/267310

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