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第70回 人工知能学会 分子生物情報研究会(SIG-MBI)(オープンバイオ研究会と共催)(第61回 情報処理学会 バイオ情報学研究会と連続開催)

全国的な新型コロナウィルスの発生を受けて、表題の件で開催の可否について種々協議を重ねた結果、skype等でのオンライン発表を可能にして開催することになりました。詳細は以下のページを御覧下さい。
http://bioinfo.ec.t.kanazawa-u.ac.jp/~ken/sigmbi/

日時:2020年3月13日(金) 14:00より
          14日(土) 12:00まで(予定)

場所:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST) 知識科学研究科講義棟2F中講義室

内容:特にテーマを限りませんので、奮って御応募下さい。

初日の発表希望者は、概要を以下の様式で佐藤 (ken@t.kanazawa-u.ac.jp) までお送り下さい。

 著者(講演者に◯)、所属
 代表者の連絡先
 講演タイトル
 講演概要(数行程度)
 希望講演時間(分)

 ★ Subject: には必ず「発表希望」と御書き下さい。★

採択およびプログラム編成は世話人に御一任下さい。

昨年と同様に、今回も同じ場所で3つの研究会を連続して開催します。バイオ
情報学研究会は3月12日(木)から13日(金)にかけて、分子生物情報研究会
は3月13日(金)に、オープンバイオ研究会は3月14日(土)に開催します。
2泊すれば3つの研究会に参加でき、基礎から応用まで幅広い発表が聞けると
思いますので、奮って御参加下さい。(曜日が昨年と異りますので御注意下
さい)

オープンバイオ研究会については、詳しくは
https://github.com/open-bio-japan/website/wiki/meeting24をご参照下さい。

バイオ情報学研究会については、詳しくはhttp://www.ipsj.or.jp/kenkyukai/event/bio61.htmlをご参照下さい。

JAISTへの道程:
https://www.jaist.ac.jp/top/access/

小松空港や小松駅からJAISTへの移動について:

注)小松空港からJAISTへの直行便は廃止され、小松駅からJAISTへの便に統合されました。
 JAIST送迎車(上記URL参照)の利用を希望する方は、必ず下記の情報を佐藤までお知らせ下さい。
 宿泊申込をされる方は、通信欄に書いて頂ければ結構です。
 ・利用する日
 ・飛行機または列車の便名
 ・送迎車の便名(上記JAISTへの道程のページから辿れる送迎車運行表を参照)
 ・携帯電話の番号
 但し、送迎車1便につき先着9名までなので、満席の場合はタクシー等に乗り合わせて
 来て頂くことになります。タクシーに4人乗車すれば1人2000円程度で済みますので、
 飛行機の便が確定している方は、事前に佐藤までメールでお知らせ下さい。同じ便に乗る方
 同士で、互いに情報を交換できるように致します。

宿泊先:辰口温泉 まつさき旅館
    〒923-1245 石川県能美市辰口町3-1 tel 0761-51-3111
  注:宿泊料は約13000円です(朝夕食付き)。

宿泊の申し込みは終了しましたが、若干名なら予約可能ですので、世話人まで御連絡下さい。

研究会のみ参加(講演宿泊共になし)の場合:無料。参加登録の必要もありません。

問い合わせ先(世話人): 佐藤賢二 ken@t.kanazawa-u.ac.jp
金沢大学 理工研究域 生命理工学系

発表予定者リスト(順不同・順次追加します)
プログラム


14:00-14:15
合流する生合成代謝経路の算出

◯太田潤(岡山大学)

代謝に関して、AはB生成の原料であるという言い方をするとき、AからBに至る
linearな代謝経路が想起されるが、B分子全体が単独のA分子から生成しない場
合も多い。合流・分岐する生合成経路は一般にみられる。合流するが分岐しな
い生合成代謝経路は、EMU tracingに引き続き逆行性経路計算する方法により算
出できる。この方法の応用例を述べる。


14:15-14:35
免疫系遺伝子発現データの機械学習と選抜された遺伝子リストの評価

◯樋口千洋 (国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)

Immnology Genome Projectで明らかにされたマウスにおける19の免疫細胞にお
ける遺伝子発現データを4種類の機械学習手法で特徴選抜し判別精度の比較を行
うと共にそれらの重なりを調べた。また、エンリッチメント解析により選抜さ
れた遺伝子リストの合理性を調べた。


14:35-14:45 休憩


14:45-15:35
SIG-MBIを振り返って

◯小長谷明彦(東京工業大学 名誉教授)

3月13日(金)に北陸先端科学技術大学院大学で開催される第70回人工知能学会
分子生物情報研究会をもって、SIG-MBIの活動を閉じることになる。第1回の
SIG-MBIは1998年4月に東大医科研で開催された。1990年代はゲノム解析の時代、
2000年代はOMICSやシステムバイオロジーが始まり、バイオ情報学が本格化した。
2010年代は、「解析のためのバイオインフォマティクス」から「設計のための
バイオインフォマティクス」へとパラダイムシフトし、分子ロボット関係の話
題を中心に議論してきた。分子ロボットは2012年から新学術領域が、2016年か
らはNEDO分子人工筋肉、2017年からはJST分子ロボット倫理が始まり、夢が形に
なってきた段階で、一つの区切りとしたい。


15:35-15:45 休憩


15:45-16:00
瀬戸内海における動物プランクトンのeDNA解析

◯川島武士(国立遺伝学研究所)

多くの海産無脊椎動物は、発生の一時期もしくは成体になってからも、浮遊性
の生活史をしめす。外洋における微小な浮遊生物の動態(dynamics)を知る方法
は、ながらくプランクトンネット等による採集に依存していたが、近年は環境
DNA(eDNA)解析による観察が可能になってきた。今回、発表者を含む臨海ハック
研究会メンバーで、日本近海域における浮遊生物動態の一端を解明することを
めざし、隣接する複数地点の採水と環境DNA比較解析を行ったので報告する。


16:00-16:15
セマンティック・ウェブ技術を用いたデータベース統合の10年と今後について

◯ 川島秀一、片山俊明(ライフサイエンス統合データベースセンター)

DBCLSとNBDCがこれまで約10年に渡って進めてきた、セマンティック・ウェブ技術を応用した、データベースを統合的に利用するための技術開発およびサービス開発について概観し、今後の展開について報告したい。


16:15-16:30
Tardigrada and Terrestrialisation: Genes, Rocks & Clocks.

◯ James Fleming (慶應義塾大学先端生命科学研究所)


16:30-16:45
見えてきたクマムシ乾眠の分子機構

◯荒川和晴(慶應義塾大学先端生命科学研究所)

2016-2017年の2種のクマムシゲノムの公開から、クマムシ乾眠の研究が世界中
に広がりつつある。我々は、比較ゲノム解析や交叉耐性のオミクス解析から網
羅的に乾眠関連遺伝子をスクリーニングし、さらにマルチオミクス解析と分子
生物学的解析によって、個別の候補の機能について詳細に解析を進めている。
本発表では、明らかになりつつあるクマムシ乾眠の分子機構について最新の知
見を紹介する。


16:45-17:00
疾患バイオバンクと前向きゲノムコホートが形成する一般集団バイオバンクによるバイオバンク・ネットワークの形成とゲノム医療の研究開発の今後の方向性について

◯荻島創一


第64回SIGMBI: 分子ロボティクスの今後の展望について

**参加登録サイトがオープンしました** リンク先は こちら(参加費無料)

科研費新学術領域研究「分子ロボティクス」は2017年3月に成功裏に終了しました。分子ロボティクスの研究は後継プロジェクトであるNEDO「分子人工筋肉」プロジェクトや領域メンバーによる科研費基盤研究を通じて着々と進められています。人工知能学会合同研究会におけるSIGMBIセッションでは、分子ロボティクスの今後の展望について、分子ロボティクス技術の深化と共に、応用実用化に向けた研究分子ロボット倫理など様々な観点から議論します。

世話人 (小長谷明彦、東工大)

2016年11月25日(土) 慶応義塾大学 矢上キャンパス12棟102号室

午前の部 9:00-12:00  分子ロボット関連技術(一般講演セッション)

開会の辞

9:00 – 9:30 小長谷明彦 (東京工業大学情報理工学院)
「分子ロボティクスの現状と今後の展望」

DNA、微小管、分子モータなどの生体分子を組み合わせてロボットのように自律的に動作する人工物を創る、という研究は2012年から開始した新学術領域研究「分子ロボティクス」で大きく進展しました。次なる目標は分子ロボットの実用化にあります。分子ロボットは電子機械式のロボットと比べ、生体分子で構成されているため生体との親和性が高いことがその特徴の一つとなっています。分子ロボットを薬のように生体に投与するためには、技術的な問題も数多く残されていますが、倫理・法律・社会的課題についても十分な議論が必要となります。本発表では、これまでの分子ロボット研究の成果と今後の方向性について述べます。

9:30 – 10:00 豊田太郎 (東京大学大学院総合文化研究科)
「ベシクル凝集体:作製法と医用技術への展開」
水中で脂質が形成する袋状二分子膜をベシクルと呼ぶ。ベシクルは粒径が数十nmから数百mまで及ぶにも関わらず,膜厚は5 nm程度であり,極めて柔軟なカプセル型の弾性体としてのみならず,構造や大きさが生体膜と類似していることから生体膜モデルとしても注目されている。近年では,医療面において,薬物送達運搬体へのベシクルの応用例が数多く報告されるようになり,重要性は益々高まっている。ベシクルの構造や構成分子に様々な機能を付加することで,複数の外部刺激に応答できるようになったり,分子ロボティクスに代表されるような演算を介した複雑な出力を与えることが可能である。私たちは,ベシクルを連結させた凝集体に着目し,外部刺激に対するベシクル凝集体の応答を明らかにすることを通じて,このカプセルの医用技術応用を目指している。
従来,ベシクル凝集体の作製法として,ベシクルを個別に作製する過程もしくは作製後に膜分子に作用する接着因子を添加してベシクルを凝集させていた。この接着因子は,ベシクルどうしが接着したり,膜どうしが融合する過程を促進できるが,常に物理/化学条件が変動する生体中でもこの機能を保持することは難しい。最近,ベシクルの作製法として油中水滴エマルションを利用した手法が開発された。これは,ベシクルの鋳型になる水滴を油相の中で作製してから,水相へ移行させてベシクルを形成するものである。私たちはこれを応用して,予め油相中で水滴を凝集させてから移行させることで,接着因子なくベシクル凝集体を作製できる手法を確立した[1]。
これまでに,リン脂質型と両親媒性高分子型の2つのベシクル凝集体を作製し,近赤外蛍光有機色素やX線CT造影剤を内包することで,腹腔鏡手術の精度向上を目的とする組織マーカーを開発した[2]。さらにこの組織マーカーを超音波利用の手術にも対応できるよう改良を行っている [3]。本発表ではこれらを紹介し,薬剤を内包したベシクル凝集体のドラッグデリバリーキャリアへの応用の可能性について議論したい。
本研究は,千葉大学フロンティア医工学センターの林 秀樹教授,大学院医学研究院の田村 裕教授,大学院融合理工学府の藤浪真紀教授との共同研究で行われたものであり,ここで謝意を表します。
[1] 豊田太郎他,オレオサイエンス,12, 77 (2012). [2] Hayashi et al., Surg. End. 29, 1445 (2014). [3] Yahagi et al., Jpn. J. Appl. Phys. 55(7S1), 07KF21 (2016).

10:00 – 10:30 池田将 (岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科)
「環境を感知して形を変える分子系」
分子の形作る1分子レベル、ナノスケール、マクロスケールなど各階層での構造と性質の相関を明らかにすることは、新たな機能を有する分子性材料の設計につながる。我々は、特定の環境に応答する化学反応性人工分子部位を生体分子に組み込む精密な分子設計に基づき生体環境でも利用できる新しい分子性材料の開発を目指している。本講演では、環境に応答して構造変化するペプチドからなるナノファイバー状分子集合体(ヒドロゲル)および核酸に関する最近の結果を報告する

10:30 – 10:45 休憩

10:45 – 11:00 梅田民樹 (神戸大学 大学院海事科学研究科)
「タンパク質によるリポソームの変形の数値シミュレーション」
リポソームは脂質2分子膜でできた人工膜小胞である.細胞や細胞小器官のモデルとして広く研究されており,分子ロボットの構成要素の一つとしても注目されている.リポソームにアクチンやチューブリン等の細胞骨格タンパク質を作用させると,細胞骨格繊維が膜を押すことにより,レモン型や平べったい形,あるいは膜チューブが突出した形など,様々な形状に変化する.また,膜を開口させ、カップ型や皿型のリポソームを形成させるタンパク質も存在する.これらの形状変化は,原理的には膜の弾性に基づく理論モデルで説明可能と考えられる.本発表では,リポソームの種々の形状変化に関する数値シミュレーションを用いた研究について報告する.

11:00 – 11:15 上野豊 (産業技術総合研究所)
「超分子構造となる生体分子の計算機モデル構築手法の開発」

筋肉等の運動タンパク質はそれらの配向した構造により、分子の発生した力で運動を実現できている。特に骨格筋の研究は歴史があり、そうした超分子構造を利用した人工筋肉は挑戦的な課題である。深く理解して応用する為に、分子グラフィックスを活用して高分子重合体を組織的に配向させるモデリングソフトウェアの開発が有用と考えられる。タンパク質立体構造データベースに基づいたタンパク質体積のポリゴンモデルで分子の配列を編集する際には衝突判定が必要なため、物理演算エンジンと呼ばれる力学計算ライブラリコードを活用してプロトタイプを開発してきた。中でもソフトウェア構築ツールluxiniaおよびGeeXLabを利用した開発例について紹介する。

11:15 – 11:30 我妻竜三(東京工業大学情報理工学院)
「千万原子数スケールの分子ロボット超分子モデリング」
本講演では、超分子モデリングによってデザインされた、従来の分子モデルではみられないスケールと外見を見せる分子人工筋肉ならびにリポソーム表面の人工チャンネルの全原子モデルを紹介します。分子人工筋肉の基本ユニット、人工サルコメア原子モデルの作成においては駆動部の分子モーター(キネシン)とDNAチューブ複合体の構築が可能となりました。DNAチューブは約400ナノメートル、表面には一定間隔で36ヶ所のキネシンの接着箇所が設けられており、120度の角度で3列の放射状に並ぶように配置されています。微小管の側面にキネシン頭部が整然と並ぶ様子が原子モデルとして再現されます。また、DNAチューブとキネシン軽鎖(尾部)の結合構造の詳細が原子モデルとしてさまざまな角度から検討可能となりました。さらに、リポソーム表面における人工チャンネルへの同様の取組みについても紹介する予定です。

11:30 – 11:45 Arif Pramudwiatmoko (東京工業大学情報理工学院)
“How to Touch and Feel Biomolecules in Virtual Reality Environment”

Virtual reality can be very useful for understanding biomolecular structure better by visualizing the three-dimensional structure of the molecule. Every atoms in a molecule actually vibrates due to the force fields that interact with it, resulting in a non-fixed conformations of the molecule. We introduce the use of haptic vibration in virtual reality environment to present these motions. A touch at an atomic object will trigger a vibration feedback to haptic devices. Larger amplitude of vibration indicates a wider range of motion, giving a sense that the touched object has more freedom in motion. This will lead to a better understanding of flexibility of molecules through virtual reality experience.

11:45 – 12:00 Gutmann Greg (東京工業大学情報理工学院)
“Scalable Multi-GPU Simulation Framework for large-scale Interactive VR over Network”

As VR has slowly become more of a main stream technology there has been a demand to utilize it for immersive and interactive simulation systems. As an interactive molecular dynamics simulation would allow for more intuitive viewing and give the ability to guide experiments. However most molecular dynamics software runs take in the order of hours to months to run, which poses a great challenge. In order to reach the simulation speeds required for an interactive simulation we have developed a coarse grained multi-GPU simulation framework. The system utilizes one computer system for computation which is connected to a gamming PC for VR rendering using 10 gigabit Ethernet. We have achieved near perfect scaling when using 10 GPU; which has enabled us to simulate large scale microtubule gliding assay problems, into the tens of millions of objects, at rates suitable for VR.

午後の部 15:00-18:00  (招待講演セッション)

分子ロボットの創薬応用への可能性について

15:00 – 15:10 来賓挨拶
関根久(NEDO「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」プロジェクトマネージャー)

15:10 – 15:40 野口洋文(琉球大学大学院医学研究科)
「糖尿病治療における膵島移植の現状と問題点」
現在、糖尿病に対する移植療法として、膵臓移植と膵島移植がある。膵島移植は、局所麻酔下にて膵臓から分離した膵島を経門脈的に注入するため、膵臓移植に比べ低侵襲である。現在までに欧米で1000例近くの移植報告がなされており、日本でも2004年より臨床膵島移植が開始されている。2011年のCollaborative Islet Transplant Registryの報告によると、欧米での膵島移植の5年インスリン離脱率は50%と膵臓単独移植の成績とほぼ同じであり、5年生存率は98%と臓器移植の成績を上回っている。しかしながら、この成績は複数回移植により達成されており、膵臓移植よりもドナーを多く必要とする点が問題として挙げられる。 発表者の野口はハーバード大学で膵島分離技術を習得したのち、京都大学所属時に膵島移植グループの主要メンバーの一人として、2004年に日本初となる心停止ドナーからの膵島移植を実施し、翌2005年には世界初となる生体膵島移植にも成功、さらに、2013年、日本初となる脳死ドナーからの膵島移植を京都大学のメンバーとともに実施した。しかしながら、本邦では心停止ドナーからの移植が18名、脳死ドナーからが9名に留まっており、脳死ドナー数をどのようにして増やすかが膵島移植の成功へのカギとなる。 脳死ドナー不足の解消には時間がかかる現状を考慮し、別の治療法を模索する動きも活発化している。再生医療研究や、血糖応答性にインスリンを分泌するインスリンポンプの開発など、世界中で競争が起こっている。本研究会では膵島移植の現状と問題点を示すとともに、最先端の糖尿病治療研究について紹介する。

15:40 – 16:10 湯川博 (名古屋大学 大学院工学研究科 生命分子工学専攻)
「量子ナノ材料によるin vivo蛍光イメージングの現状と創薬応用」
膵島移植や肝細胞移植等の細胞移植治療において、安全性と治療効果を最大限に引き出すためには移植細胞の生体内動態を正確に把握・診断する必要がある。しかし、これまでに臨床応用されている画像診断技術は組織・臓器を対象としたものがほとんどであり、細胞を対象としたイメージング診断技術の確立が求められている。 我々は、量子サイズ効果に基づく非常に優れた光学特性(超高精細、超高感度、超長寿命、省エネ、低コスト)から通信・映像(4K・8Kディスプレイ)分野において既に実用化されている量子ドットや既に肝臓のMRI造影剤として臨床応用されている優れた磁気特性を有する磁気ナノ粒子等の量子ナノ材料に注目し、移植細胞in vivo蛍光イメージング技術の構築に取り組んできた。最近では、再生医療への応用を中心に取り組み、これまで不明であった移植後の幹細胞・再生細胞の生体内動態の解明に貢献している。 本講演では、再生医療における移植幹細胞・再生細胞in vivo蛍光イメージングの最新成果に加え、量子ナノ材料によるin vivo蛍光イメージングの創薬分野への応用・発展性、殊に細胞を超える分子ロボットの創薬応用への可能性について言及したい。

16:10 – 16:40 石原司 (産業技術総合研究所)
「ついに「ロボット創薬」の時代へ:自動設計と自動合成の融合による医薬品探索の自動化」
医薬品の創出は数年に渡る歳月と幾多の試行錯誤を伴い、生産力向上は製薬産業における至上命題である。近年における機械学習の飛躍的な進化は、化合物の設計を自動化しうる。我が国の優位点である機械化技術の深化は、化合物の合成を自動化しうる。我々は、高機能化合物の創出に資する支援技術の確立に向け、ロボット創薬ー即ち、自動設計と自動合成の具現化と融合による医薬候補化合物自動探索装置ーの完成を目指している。 ・目標像:365 日24 時間稼動し、高活性化合物を自律的に探索する ・試験稼働結果:臨床試験化合物に匹敵する化合物を自動で創出した 本講演では、来るべき分子ロボティクスの創薬応用に向け、その探索の一助になりうると期待する自動探索装置の概要、および、医薬候補品探索に試験稼働して設計ならびに合成した化合物の評価結果を紹介する。 自動設計装置は、三つの機能ー合成経路・化合物設計・探索結果解析ーから構成される。起点となる化合物の合成経路を解析し、構造活性相関の探索を目的とする類縁体一群の合成に適した経路を選択する。次に、内包する論文6.5 万報が収載する200 万超の化合物の構造とその活性を情報源とし、置換基の出現頻度や構造活性相関の類似性などの自動解析にて獲得した暗黙知に基づき、新規化合物を設計する。そして、深層学習を含む機械学習による定量的構造活性相関解析を、データソースの相違を補正するデータ融合や転移学習などの高次学習系にて実行し、化合物特性を推算する。結晶解析あるいはドッキングスタディによる複合体構造が存在する場合には、これを鋳型として新規設計化合物の結合様式を推定し親和性を推算する。 自動合成装置は、自動設計装置、そして、精製装置や濃縮装置などの周辺実験機器と連携し、設計された化合物を実体化する。有史来の化学合成にて普遍的かつ不変的に実施されたバッチ反応を一新しうるフローリアクターを基幹とし、国内装置開発メーカーとの協働により、フローリアクターの弱点とされる閉塞の発生を軽減した新規開発の流路を実装する多検体合成対応型へと発展させた。 本装置の稼動により、高機能化合物探索において、人的対応に依存する探索サイクルから、自動設計と自動合成が融合した自律的探索への変革が期待される。

16:40 -17:00 休憩

17:00 – 17:30 森島圭祐 (大阪大学大学院工学研究科)
LiVEMechX・生命機械融合ウェットロボティクスが拓く超スマート社会

石油や電気の化石燃料や内燃機関等動力源に頼らず、生体や自然環境のエネルギーを取り込むことで駆動できる機械システムが実現できれば、省エネルギー効果は絶大で、IoT、AI、ヒト、自然、人工物がすべて調和した超スマートな持続可能社会を実現できる。デバイスの駆動原理が電気を用いず化学エネルギーのみによる駆動であるため、省エネルギー効果は絶大である。したがって、このような生体エネルギー変換型生命機械融合システムである、マイクロ・ナノロボット、ウェットロボティクス、分子ロボティクスといった次世代ロボットのコンセプトは、これまでのバイオナノテクノロジー、メカトロニクス、自己組織化原理、AIを統合することで、製造業だけでなく、ヘルスケア、医療、農業、海洋、環境モニタリング等、様々な産業に革新的な変化をもたらし、化学、ライフサイエンス、IT情報サービス産業を融合した、全く新しい価値を創造するビジネスモデルと新たな雇用を生み出す、バイオニック産業を創出できる。生物が発展し、進化し続けてきた超長期的な持続可能な超省エネ型ものづくりが実現でき、現在人類が直面している食料問題、人口問題、環境問題、超高齢社会問題を解決できる手段になる。このような新たな価値を創出するための方法として、生物と人工物の新しいハイブリッド化技術の確立を目指し、従来の「バイオミメティック」から「細胞・生命そのものを用いたものづくり」へのパラダイムシフトを試みてきた。生物−機械・生物−電子・生物-分子間のインターフェース技術により、様々な生物機能を人工システムに取り込むことができる。本講演では、生体のように柔らかい生命機械情報システム、ソフト&ウェットロボティクス設計論構築や医療用・環境適応マイクロマシン、組織構築、バイオアクチュエータ、ナノマシン、細胞内計測等の研究展開について紹介する。

17:30 – 18:00 吉澤剛 (大阪大学医学系研究科)
「分子ロボティクスの倫理と社会」
科学技術振興機構社会技術研究開発センター「情報技術・分子ロボティクスを対象とした議題共創のためのリアルタイム・テクノロジーアセスメントの構築」研究開発プロジェクトでは、前年度の企画調査を受け、分子ロボティクスを具体的な事例として、社会的議題に関する知見と議論の結果を現場の研究者・技術者にフィードバックする方法論について実践的研究を進めている。本発表では、メディア分析やホライズン・スキャニングを活用して抽出した分子ロボティクスに関する倫理的・法的・社会的議題を紹介するとともに、こうした議題と社会的要請について研究者が学習する機会のあり方について展望する。

閉会の辞

講演申し込み:(締切ました)

アブストラクト締切 10月25日
日本語の場合 1000字以内
英語の場合             600語以内

分子生物情報(SIG-MBI)研究会では技報は発行しておりません。ファイルにはアブストラクトと同じものをアップロードしてください。

 

 

 

平成29 年度 日本バイオインフォマティクス技術者認定試験のご案内

日本バイオインフォマティクス学会(JSBi) バイオインフォマティクス技術者認定試験の案内が来ましたので、お知らせします。

□試験日 平成29 年12 月3 日(日)
□受験資格 受験資格は問いません。
□受験料 4800 円(消費税込)

詳しくは、下記の案内をご覧ください。

H29年実施要領

 

第63回人工知能学会分子生物情報研究会(SIG-MBI)

第63回 人工知能学会 分子生物情報研究会(SIG-MBI)(オープンバイオ研究会と共催)(第49回 情報処理学会 バイオ情報学研究会(3月23日午後~24日午前)と連続開催)

日時: 平成29年3月24日(金)午後〜25日(土)午前
会場: 北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科 講義棟中講義室
(〒923-1292 石川県能美市旭台1-1)
http://www.jaist.ac.jp/top/campusmap/

世話人: 佐藤賢二(金沢大学)

参加申し込みはこちらから

http://bioinfo.ec.t.kanazawa-u.ac.jp/~ken/sigmbi/
http://bioinfo.ec.t.kanazawa-u.ac.jp/~ken/sigmbi/reserve.html

 

場所:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST) 知識科学研究科講義棟2F中講義室

内容:特にテーマを限りませんので、奮って御応募下さい。

発表希望者は、概要を以下の様式で佐藤 (ken@t.kanazawa-u.ac.jp) までお送り下さい。

著者(講演者に◯)、所属
代表者の連絡先
講演タイトル
講演概要(数行程度)
希望講演時間(分)

★ Subject: には必ず「発表希望」と御書き下さい。★

採択およびプログラム編成は世話人に御一任下さい。

 

プログラム
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14:00-14:40
新学術領域「分子ロボティクス」の成果と今後

◯小長谷明彦(東京工業大学)

感覚と知能を備えたロボットを生体分子で構築することを目標とした新学術領域「分子ロボティクス」が2017年度末に終了する。5年の歳月の中で、リポソームをベースとしたアメーバ型ロボットやDNAや微小管をゲル化したスライム型ロボットを開発し、分子ロボットの概念の実現性を実証した。第23期日本学術会議大型研究計画マスタープランにも「分子ロボティクス・イニシアティブ」が採択されるなど、新しい学術領域として広く科学界に認知された。後継プロジェクトとしてはNEDO「分子人工筋肉」ならびにJST「分子ロボット倫理」が採択されており、社会的に受容可能な分子ロボットの実用化を目指して研究を推進している。

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14:40-15:00
超高機能構造タンパク質を求めて

◯河野暢明1・藤原正幸1・中村浩之2・大利麟太郎2・冨田勝1・荒川和晴1
1. 慶應義塾大学先端生命科学研究所
2. Spiber株式会社

様々な生物が持つ構造タンパクはそれぞれの物性から工業的応用が期待されており、蜘蛛が精製する糸になどは脱石油製品である次世代素材としてバイオテクノロジーによる人工合成が多く試みられている。しかしこうしたタンパクを構成する関連因子は複雑で、多くはその正確な特徴や傾向が未知のままで、有効利用されずにいる。本講演では、内閣府の革新的研究開発推進プログラムImPACT「超高機能構造タンパク質による素材産業革命」として遂行されている本プロジェクトの概要とともに、
これまで行って来た超高機能構造タンパクの物性解析から遺伝子探索に関する結果を報告する。

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15:00-15:10 休憩

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15:10-15:30
ドゥジャルダンヤマクマムシとヨコヅナクマムシの比較ゲノム解析

◯吉田祐貴1,2, Georgios Koutsovoulos3, Dominik R. Laetsch3,4, Lewis Stevens3, Sujai Kumar3, 堀川大樹1,2, 石野響子1, 小峰栞1, 國枝武和5, 冨田勝1,2, Mark Blaxter3, 荒川和晴1,2

1 慶應義塾大学 先端生命科学研究所
2 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 先端生命学プログラム
3 Institute of Evolutionary Biology, School of Biological Sciences, University of Edinburgh
4 The James Hutton Institute
5 東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻 細胞生理化学研究室

微小動物であるクマムシによって形成される緩歩動物門は,脱皮動物門の進化,極限環境への耐性,進化 における遺伝子水平伝播の役割などの議論の中心となっている.緩歩動物は形態学的解析によって,節足動物と有爪動物と姉妹群を形成する側節足動物として考えられているが,近年の分子系統解析ではこの分類が必ずしも支持されず,カンブリア紀の脱皮動物の多様性拡大の軌跡に未だ決着がついていない.また,陸生のクマムシは液体の水の喪失に伴い乾眠や凍眠を含むクリプトビオシスと呼ばれる無代謝の休眠状態に移行する事ができるが,これは液体の水の存在を前提とする細胞生理の根幹を問い直す.さらに,輪形動物を中心として脱皮動物進化における遺伝子水平伝播の役割が問題提起されているが,緩歩動物における役割については未だ議論がある.そこで,我々は乾眠能力が相対的に弱いドゥジャルダンヤマクマムシ (Hypsibius dujaridini)のゲノムをリシーケンスし,高い極限環境耐性を持つヨコヅナクマムシ (Ramazzottius varieornatus)及び他の脱皮動物門の生物とのゲノム比較および乾眠前後の発現量解析を行なった.結果,緩歩動物特有な遺伝子ファミリーの進化を見出し,対象2種のクマムシにおける乾眠能力の違いはその遺伝子発現応答の違いによって一部説明されうることが明らかとなった.遺伝子水平伝播の割合は他の後生動物同様1~3%に限定され,緩歩動物の進化において大きな役割は持たないが,わずかながら乾眠関連の遺伝子が水平伝播によって獲得された例は存在した.そして,全ゲノム分子系統解析は緩歩動物+線形動物の姉妹群を支持する一方,遺伝子欠損パターンでは緩歩動物+節足動物を支持した.本発表ではこれらの結果を紹介し,極限環境耐性を可能とする分子メカニズムと脱皮動物門内での緩歩動物の系統関係について議論する.

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15:30-15:50
質量分析データと遺伝子発現データの統合による化合物アノテーションの試み

◯川島武士(国立遺伝学研究所)

近年になり、質量分析データと遺伝子発現データのどちらについても、多様な種についての解析結果が公開され利用できるようになってきている。そこで質量分析と遺伝子発現の双方について、種、属、科、目レベルのDifferential Screeningをin silicoで行うことで、化合物とその代謝酵素の関係を明らかにすることができるのではないかと考えられる。発表者の研究は始まったところで、未知化合物や未知タンパク質についての関連を調べるには至っていないが、現在までの解析状況と問題点についてご紹介したい。

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15:50-16:10
セマンティックネットワークを活用した医薬文書理解システムの構築

◯渡邊健太(東京工業大学)、小長谷明彦(東京工業大学)

本研究では,LODを用いて単語データの収集や表記揺れの吸収を行い,人間・コンピュータが文書を理解することを補助するような医薬文書理解システムを開発した.さらに,LOD間のデータ形式の差異吸収や分岐処理を可能とし,「単語のカテゴリが病気であった場合,病気に関するLODからデータを取得する」というような高度な情報検索を実現した.本システムは,LODチャレンジ2016にてDBpedia賞を受賞している.

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16:10-16:30
RDFデータからの特徴ベクトル生成

◯川島秀一、片山俊明(ライフサイエンス統合データベースセンター)

現在、様々な生命科学データベースがRDF形式で利用できるようになってきている。例えば、NBDCとDBCLSは共同で、RDFポータルを運営しているが、そこには現在200億トリプルを越えるRDFデータが蓄積されている。このようなRDFデータから新しい知識を得る試みとして、昨年度のBiHackathonにおいて、RDFのグラフから、DeepWalkソフトウェアを用いて、直接特徴ベクトルを生成する試みが提案された。これにより、遺伝子や病気といった異なる概念に属する対象が、同じ多次元空間上のベクトルとして表現されるため、様々な応用が考えられる。我々も、この手法を、いくつかのRDFデータセットから構築されたグラフに対して適用してみたので、報告したい。


フリーディスカッション(オープンバイオと共催)

第一部

20:00-22:00

日本のバイオデータベースの在り方について

・欧米との差別化について

・今後の展望について

第二部

3月25日 JAIST

10:30-12:00

・オープンデータの活用法について

 

 

第62回 人工知能学会分子生物情報研究会 (SIG-MBI)

第62回SIGMBI: 分子ロボティクスとマテリアルインテリジェンス
協賛: SIGNAC
2016年11月12日(土) 慶応義塾大学 日吉キャンパス 来往舎

世話人: 萩谷昌己(東大)

午前セッション: 分子ロボティクスとその知能

10:00~10:30 小長谷明彦(東工大)「分子ロボティクスの現状と今後の展開について」

生体分子を用いて「知能」と「感覚」を備えたロボットを創ることは可能か?アメーバ型分子ロボットおよびスライム型分子ロボットの開発を経て、分子ロボティクスの技術的困難さと可能性が見えてきた。本講演では、新学術領域研究での成果を踏まえて、今後の課題と展望について報告する。
10:30~11:00 菅原研(東北学院大)「分子ロボティクスのの新パラダイム」

分子ロボットが機能する場は文字通り分子スケールの世界である。そこでのロボティクスはマクロなスケールでのロボティクスと本質的に異なる。本講演では、従来のマクロなスケールでのロボティクスにおける知見との対比を通して、分子ロボティクスの意義について再考する。
11:00~11:30 鈴木泰博(名大)「学習する化学反応系について」

分子ロボットの知能への応用を目指した、化学反応系の抽象モデルをもちいた学習する抽象化学反応系について新学術領域でのこれまでの研究の成果について紹介する。また、実際のDNAをもちいた自己維持的な反応系において、環境の変動に追従する反応系の構築の実験の進捗についてもあわせて紹介したい。
11:30~12:00 丸中愉太(東大)・萩谷昌己(東大)・大下福仁(奈良先端大)

「群知能を用いた経路探索による機械学習」

各種の最適化問題や学習問題において、多数の分散的なエージェントの協調による創発過程を用いて解を探索する、群知能のアプローチが有効であることが知られている。本研究では、群知能による経路探索に着目し、神経ネットワーク様のグラフ上の経路を探索することによって教師あり学習を行う問題を新たに設定し、群知能の自己安定で分散的なアルゴリズムによる解法を提示する。

午後セッション: マテリアルインテリジェンス — ものに宿る知能

14:30~15:15 堀尾喜彦(東北大)「脳型コンピュータハードウェアの動向と課題」

ムーアの法則の終焉に伴い、新しい計算原理に基づくコンピュータが切望されている。その中で、近年の新型デバイスの登場により、脳に学んだ脳型コンピュータのハードウェア実装の可能性が大きく広がっている。本講演では、脳型コンピュータハードウェアの開発動向と課題について述べる。
15:15~16:00 川又生吹(東北大)・礒川悌次郎(兵庫県立大)・Ferdinand Peper(NICT)

「計算を行うゲルオートマトンの実現にむけて」

化学反応により望みのパターンで時間・空間的に発展し、計算を行う新しい枠組みをゲルオートマトンと呼ぶ。DNAとハイドロゲルを使ったゲルオートマトンについて、実験と理論の両面から最新の成果を報告するとともに、この枠組みを用いた計算モデルについても紹介する。
休憩
16:15~17:00 中嶋浩平(京大)「Physical reservoir computing for soft robots」

本講演では、近年、提案された新規情報処理概念であるphysical reservoir computingについて紹介する。この技術は、応用されるプラットフォームの物性・動力学的特性に応じて、その固有の威力を発揮する。この技術が「やわらかいロボット」と接続するとき、その身体はきわめて効率の良い計算資源として活用されることを見る。
17:00~17:30 成瀬誠(NICT)「フォトニック知能:意思決定を実現する極限光技術の創造」

IoT、CPS、ビックデータなど、実世界とサイバー空間を束ねる考え方が叫ばれ、一方、ポスト・シリコン・コンピューティングなど新規な物理プロセスを用いた研究が活発化し、「物理や実世界」と「計算や知能」の新たな学際融合の重要性が問われている。我々は「自然知能」を提唱し、例として強化学習を物理的に解決する「フォトニック知能」を提案した。これまでに、近接場光、単一光子、レーザーカオスを用いた意思決定課題に実験的に成功した。これらの研究では、光の集積性、省エネ性、量子性、高帯域性の極限での性質が生かされている。謝辞:本研究の一部はJSPS Core-to-Coreの助成による。

17:30~18:00 金成主(NIMS)「自然知能:新たな物理的計算能力の活用」

最近,GoogleやAmazonを筆頭に多くの企業,研究所,大学で人工知能の研究開発が盛んに行われている.その一方で,我々は既存のアルゴリズム的知能を超えた新たな物理的計算能力を活用できる「自然知能」というアプローチを提唱して来た.本講演では,物理現象で知的計算をする手法について紹介し,特に,意思決定問題を解く「綱引き原理」とその発展系について詳しく説明する.

 

第61回 人工知能学会分子生物情報研究会 (SIG-MBI)

共催 「分子ロボティクス研究会」2016年6月 定例研究会(東京)
共催 新学術領域「感覚と知能を備えた分子ロボットの創成(分子ロボティクス)」
「分子ロボティクス周辺研究への招待:非平衡物理現象からモデル細胞制御まで」
13:00-13:25 受付
13:25-13:30 Opening remarks
13:30-14:15 特別講演1
講師 武仲 能子 先生(産業技術総合研究所 機能化学研究部門 主任研究員)
「光による液晶中での微粒子運動:ソフトアクチュエータ開発を目指して」
液晶中での微粒子駆動に関する研究は多くあり,電気対流や液晶欠陥の相互作用,温度勾配,液晶中に分散させた光反応性分子による光反応などが駆動力として用いられてきた.本研究では,光反応性分子などを分散させていない純粋な液晶中で,光照射によって微粒子が運動する現象を見つけたので紹介する.この現象は,ネマチックーアイソトロピック転移点直下で観察され,光熱変換による液晶の微小な温度変化によって液晶の劇的な体積膨張が引き起こされた結果だと推察している.
14:15-14:20 5分休憩
14:20-15:05 特別講演2
講師 加納 ふみ 先生(東京工業大学 科学技術創成研究院 准教授)
「セミインタクト細胞リシール技術:病態モデル細胞への応用例」
人工多能性幹細胞iPS細胞や新規ゲノム編集技術CRISPR/Cas9システムの発展を受け,細胞そのものを操作し治療する「細胞治療」が実現可能になってきた.細胞を安全に操作するためには,ウイルスベクターなどに依存しないゲノム編集法や細胞内タンパク質分子導入法の開発が必要不可欠である.
本発表では,細胞膜の可逆的穿孔法セミインタクト細胞リシール技術を用いた新規細胞内分子導入法と,本方法を用いた病態モデル細胞の構築を紹介する.
15:05-15:15 10分休憩
15:15-16:00 特別講演3
講師 堀 豊 先生(慶応義塾大学 物理情報工学科 助教)
「フィードバック制御理論による遺伝子回路の設計とプロトタイピング」
望みの動特性を持つ遺伝子回路(遺伝子制御ネットワーク)を系統的にモデル化・解析・設計するためのフィードバック制御理論のフレームワーク,および回路を効率的に試作し実験・検証するための実験系を紹介する.特に本講演では,振動子回路の製作を例にとりながら,まず,制御理論のツールを用いて反応系のパラメタと振動特性の関係を解析する.その後,解析結果に基づいて振動子回路を設計し,マイクロ流路と無細胞タンパク質合成系を用いてパラメタを調整しながら望みの動特性を実際に達成するプロセスについて述べる.
16:00-16:05 5分休憩
16:05-16:30 一般講演1
石川 大輔(東京工業大学 情報理工学院 瀧ノ上研究室 PD)
「分子センシングマイクロシステム構築へのアプローチ」
細胞の構造,機能を模倣した人工システムは,脂質分子ベースの膜にイオンチャネル構造を導入したものが主であり,数ナノメートルサイズの分子を通過することは非常に困難である.
本発表では分子を感知できるシステム構築のために,非常に柔軟な設計性を有するDNAを材料として,分子を通すことが可能なほど大きな孔をもつ新規マイクロカプセルを紹介する.
16:30-17:00 一般講演2
庄司 観(東京農工大学 生命工学専攻 川野研究室 PD)
「ハイブリッド型分子ロボットへの応用を目指したliving batteryの開発」
本研究では,ハイブリッド型分子ロボットの創製を目指し,生物の持つ化学エネルギを用いて発電するLiving batteryを開発した.
また,脂質二重膜により電池を区切ることにより電池を絶縁し積層することに成功した.以上の結果より,化学エネルギを用いた本電池をハイブリッド型分子ロボットの電源とし応用できる可能性を示すことが出来た.

第60回 人工知能学会 分子生物情報研究会(SIG-MBI)

第60回 人工知能学会 分子生物情報研究会(SIG-MBI)(第20回オープンバイオ研究会と共催)(第45回 情報処理学会 バイオ情報学研究会と連続開催)

日時:2016年3月17日(木) 14:00より
18日(金) 13:00まで(予定)

場所:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST) 知識科学研究科講義棟2F中講義室

内容:特にテーマを限りませんので、奮って御応募下さい。

初日の発表希望者は、概要を以下の様式で佐藤 (ken@t.kanazawa-u.ac.jp) までお送り下さい。

著者(講演者に◯)、所属
代表者の連絡先
講演タイトル
講演概要(数行程度)
希望講演時間(分)

★ Subject: には必ず「発表希望」と御書き下さい。★

採択およびプログラム編成は世話人に御一任下さい。

例年と異り、今回は同じ場所で3つの研究会を連続して開催します。オープンバイオ研究会は
3月17日(木)に、分子生物情報研究会は3月18日(金)に、バイオ情報学研究会は3月
18日(金)から19日(土)にかけて開催します。2泊すれば3つの研究会に参加でき、基
礎から応用まで幅広い発表が聞けると思いますので、奮って御参加下さい。

また、この3つの研究会に先立ち、金沢市内にて3月14日(月)から16日(水)にかけて
ライフサイエンス統合データベースセンターの主催で「国内版バイオハッカソンBH15.15」が
開催され、その成果報告が3月17日(木)の午前中から午後にかけて同じ会場で発表される
予定です。

国内版バイオハッカソンBH15.15については参加登録が必要ですが、分子生物情報研究会、オープンバイオ研究会、およびバイオ情報学研究会は、参加費や登録は不要です。

国内版バイオハッカソンBH15.15については、詳しくはhttp://wiki.lifesciencedb.jp/mw/BH15.15をご参照ください。

オープンバイオ研究会については、詳しくはhttp://open-bio.jp/?meeting20をご参照下さい。

バイオ情報学研究会については、詳しくはhttp://www.ipsj.or.jp/kenkyukai/event/bio45.htmlをご参照下さい。

JAISTへの道程:
http://www.jaist.ac.jp/general_info/access/

小松空港からJAISTへの移動について:

JAIST送迎車(上記URL参照)の利用を希望する方は、必ず下記の情報を佐藤までお知らせ下さい。
宿泊申込をされる方は、通信欄に書いて頂ければ結構です。
・利用する日
・飛行機の便名
・送迎車の便名(上記JAISTへの道程のページから辿れる送迎車運行表を参照)
・携帯電話の番号
但し、送迎車1便につき先着9名までなので、満席の場合はタクシー等に乗り合わせて
来て頂くことになります。タクシーに4人乗車すれば1人1500円程度で済みますので、
飛行機の便が確定している方は、事前に佐藤までメールでお知らせ下さい。同じ便に乗る方
同士で、互いに情報を交換できるように致します。

宿泊先:辰口温泉 まつさき旅館
〒923-1245 石川県能美市辰口町3-1 tel 0761-51-3111
注:宿泊料は約13000円です(朝夕食付き)。

宿泊の申し込みは終了しましたが、若干名なら予約可能ですので、世話人まで
御連絡下さい。

研究会のみ参加(講演宿泊共になし)の場合:無料。参加登録の必要もありません。
問い合わせ先(世話人): 佐藤賢二 ken@t.kanazawa-u.ac.jp
金沢大学 理工研究域 電子情報学系

プログラム
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09:30-09:55
Molecular Kinetics Simulation: 運動する分子のボトムアップ的理解のために

◯小長谷明彦(東京工業大学大学院知能システム科学専攻)

原子間力相互作用に基づく分子動力学はこれまで、タンパク質の動的な形態変化しか扱えなかった。本講演では、微小管滑走実験を題材に、これまでアニメーションでしか扱えなかった大きな分子の運動を実時間でシミュレーションする方法論について紹介する。

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09:55-10:20
クマムシゲノムに大規模な水平伝播は存在しない

◯荒川和晴(慶應義塾大学先端生命科学研究所)

昨年末、ノースキャロライナ大学のグループがドゥジャルダンヤマクマムシのドラフトゲノムをPNASに報告し、その中で、本種が実に全遺伝子の17.5%をも水平伝播によって獲得したという驚愕の結果を示した。一方、本論文の出版直後から多方面の研究者から本アセンブリーに大きな問題があり、水平伝播とされるものの多くの実態がコンタミネーションであることが明らかになりつつある。本講演では我々の持っているデータに基づくPNAS論文への反論を紹介する。

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10:20-10:45
公共遺伝子発現データの再利用に向けた取り組み

◯坊農秀雅(ライフサイエンス統合データベースセンター)

遺伝子発現データのアーカイブとしてNCBI GEO(Gene Expression Omnibus)がよく知られているが、果たしてそこにすべての公共遺伝子発現データが含まれているのだろうか?次世代シークエンサーによる遺伝子発現定量法の普及に伴う諸事情に対処すべく現在取り組んでいる、公共遺伝子発現データベース目次について紹介する。

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10:45-11:00
塩基組成に基づいたプラスミドの宿主域の予測
◯鈴木治夫(慶應義塾大学先端生命科学研究所)

細菌の薬剤耐性や病原性の獲得には、細菌間を移動する染色体外DNA(プラスミド)が関与する。細菌進化におけるプラスミドの重要性を理解するためには、プラスミドの宿主域を知る必要がある。プラスミドは、既知の宿主の染色体と塩基組成が類似しているので、過去に滞在した宿主の塩基組成を獲得したと考えられる。狭宿主域プラスミドは一部の細菌にだけ塩基組成が類似していたのに対し、広宿主域プラスミドは多様な細菌に塩基組成が類似していた。このことは、塩基組成からプラスミドの宿主域を予測できることを示唆する。
【参考文献】
– Suzuki H*, Brown CJ, Top EM. (*Corresponding author.) “Genomic Signature Analysis to Predict Plasmid Host Range”, Molecular Life Sciences, DOI 10.1007/978-1-4614-6436-5_574-1, Springer Science+Business Media New York 2014
– Suzuki H, Yano H, Brown CJ, Top EM. “Predicting plasmid promiscuity based on genomic signature”, J Bacteriol., vol.192, no.22, pp.6045-6055, Nov 2010
– Suzuki H, Sota M, Brown CJ, Top EM. “Using Mahalanobis distance to compare genomic signatures between bacterial plasmids and chromosomes”, Nucleic Acids Res., vol.36, no.22, pp.e147, Dec 2008

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11:00-11:25
NBDC RDFポータルの紹介

◯川島秀一、片山俊明(ライフサイエンス統合データベースセンター)

NBDC/DBCLSは、多種多様な生命科学分野のデータを、自在に統合して利用できる様にすることが、今後の生命科学研究活動に対して大いに寄与すると考え、そのために必要な基盤データ整備や技術開発を行っている。そして基盤データ整備の一環として、特にNBDCの統合推進化プログラムに参画するグループに対しては、各グループが構築しているデータベースのRDF化を推奨してきた。異なるデータベースを適切にRDF化することで、少なくともデータフォーマットは統一されるので、最小限の手間でデータを統合して利用することができる。ただ、個々のグループがばらばらにRDFデータを公開しても、利用者が必要なデータを探し出すことは困難であり、また自前でデータを公開するサーバーを運用することができない場合もある。そういった問題を解決するために、NBDC/DBCLSは、国内で構築されたRDFデータを収集して公開するポータルサイト、NBDC RDFポータルを開発し、昨年12月から運用を開始している。本ポータルでRDFデータを一括して公開することで、国内外に対して国内で開発されているRDFデータの認知度を高める効果もあると考えている。また、DBCLSでは、生命科学データのRDF化を行う際に参照することで、より適切なRDFを構築できるようなガイドラインを構築している。本ポータルサイトに登録されたRDFデータの特徴として、本ガイドラインにできるだけ準拠するように、レビューを経たものだけで構成されている点があげられる。現在、RDFポータルでは、11のRDFデータ・セットに対して、RDFデータのダウンロードおよび、SPARQLエンドポイントのサービスを提供している。

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11:25-11:50
既存RDBを効率的にRDF化する D2RQ Mapper

◯山本泰智、片山俊明(ライフサイエンス統合データベースセンター)

生命科学分野においては近年セマンティックウェブ技術に基づくResource Description Framework (RDF) を採用したデータセットの表現が行われつつある。RDFを用いることで様々なデータベースをマッシュアップしやすくなるが、現状では依然としてMySQLやPostgreSQLなどの関係データベース(RDB)に格納されている事例が多い。そこで、RDBを維持管理している主体が最小限の負担でRDFによるデータの公開も可能とする環境が構築されることが望ましい。関連既存ツールであるD2RQは、関係データベースはそのままに、それをRDFとしてアクセス可能にするもので、RDFの標準問い合わせ言語であるSPARQLにも対応している。しかし、D2RQの設定ファイルは独自の用語で記述する必要があり、その編集は容易ではないことから、DBCLSでは、誤りを減らし、効率良く設定ファイルを作成できるD2RQ Mapperと呼ばれるウェブアプリケーションを開発し運用している。本発表ではこのD2RQ Mapperを紹介したい。

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11:50-12:15
これからのリファレンスゲノムはどうあるべきか

◯片山 俊明(ライフサイエンス統合データベースセンター)

ゲノム解読が始まって以来、各モデル生物でのリファレンスゲノムが科学研究の目的で提供・更新され、それに対して各研究コミュニティがゲノムアノテーションや解析を行うというモデルが広く運用されてきた。しかし近年、とくにヒトにおいて、大規模な個人ゲノム解読や、臓器・細胞・疾病などの様々なアスペクトでのシーケンシングが進むなか、単一のリファレンスゲノムとの比較だけでは変異解析やアノテーションの管理が難しい状況が出てきている。2013年に始まったGlobal Alliance for Gnomics and Health (GA4GH)ではヒトゲノムのリファレンスを少数の西洋人の代表配列ではなく、全ての人類の配列に基づくグラフとして扱う技術が提唱・開発されている。国内でも日本人ゲノムの利活用のためのデータベースやシステム開発が求められており、これらを包括的に扱うためにはリファレンス・ゲノム・グラフをベースにした新しいモデルを世界標準にしていく必要があると考えられる。リファレンス・ゲノムのグラフと、セマンティック・ウェブによる知識やアノテーションのグラフ、これら2つの技術を連携させ標準化することにより、データベースの共通化と解析ツールやワークフローなどの共有が促進され、トータルでの開発コストを抑えることができるだけでなく、将来的に他の生物種やメタゲノム解析などへのフィードバックも期待される。

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第59回人工知能学会 分子生物情報研究会(SIG-MBI)

[日時] 11月14日(土) 人工知能学会合同研究会 3日目

人工知能学会合同研究会プログラム

[場所]  慶応義塾大学 日吉キャンパス 來往舎 大会議室1

[テーマ] 感覚と知能を持つアメーバ型分子ロボット 新学術領域「分子ロボティクス」アメーバ班と共催

[プログラム]

10:00-12:20 講演セッション1

10:00-10:30  小長谷明彦(東工大) 「アメーバ型分子ロボットの現状と課題について」

新学術領域研究「分子ロボティクス」では、感覚と知能を備えたアメーバ分子ロボティクスプロトタイプの開発を進めている。アメーバ型分子ロボットプロトタイプはリポソームを自己と環境を隔てる境界として持ち、DNAオリガミを用いた「感覚」とDNA計算を用いた「知能」を持ち、微小管を分子モータで動かすことで「運動」を実現する。ここでは、分子ロボティクス研究の背景と今後の展開について述べる。

10:30-11:00 遠藤政幸(京都大学) 「分子ロボットの感覚となるDNAレセプターの構築」

自由に構造設計できるDNAオリガミは構造だけでなく、センサーや分子機械にも応用がなされてきている。我々のグループではDNAオリガミ構造体と脂質二重膜との相互作用を使って規則的な集合体を作成できることを見出している。これらの技術を生かし、リポソームの内外で情報交換するためのDNA構造体「人工レセプター」を作成し、分子ロボットの感覚に応用する。今回は、センサーとなるDNAオリガミ構造体の作成とターゲット分子に対する応答、さらに脂質膜との相互作用について発表する。

11:00-11:30 小宮 健(東工大) 「DNAシグナル生成反応の展開」

ある種の文字列情報とみなせる自身の塩基配列にしたがって,相補な配列を持つ分子と特異的に結合する核酸は,分子反応のプログラミングを可能にする有望な素材である.DNAの配列特異的結合は,情報伝達のみならず,結合にともなうナノメートル・スケールの構造変化を,アクチュエータ機能に利用するシステムの構築に利用することも考えられる.そのようなシステムを実現する上で,シグナルとして作用し得る結合可能な一本鎖状態のDNAを,どのようにして溶液系に供給するかが課題である.本講演では,われわれが開発しているDNAシグナル生成反応について,その特性やシグナルを迅速に増幅する手法を報告する.この反応を活用した今後の分子ロボット実機の創製について議論したい.

11:30-12:00 風山 祐輝,手島哲彦,大崎寿久,竹内昌治,豊田太郎 「マイクロ流体デバイスを用いた均一粒径リポソームの形態変化解析」

細胞サイズのリポソームは,生体膜モデルとして薬剤動態の解析や原始細胞モデル創成の観点から注目されている.リポソームの分散液を直接顕微鏡観察する従来の方法では,分散液中のリポソームが多分散であるために,粒径に依存する現象や刺激応答の履歴を十分な観測数で精確に議論することが困難であった.そこで,粒径選別と並列空間配置を一度の操作で実現可能なマイクロ流体デバイスを開発した.粒径が不揃いなリポソームの分散液から,このデバイスを用いて,変動係数12%未満で均一粒径のリポソームを選別し,かつそれらを60個以上規則正しく並列空間配置することに成功した.さらに,10個以上のリポソームについて,連続的な浸透圧刺激による収縮と再膨張の過程を同時イメージングし,一枚膜に近いリポソームと多重膜リポソームが同様の粒径変化を示すことや,初期の粒径に依存して再膨張過程の応答様式が異なることを見出した.

12:00-12:20  総合討論

12;20-13:20  昼食(各自)

13:20-14:30 合同企画:2014年度優秀賞記念講演(別会場シンポジウムスペース)

15:00-17:30 (17:50) 講演セッション2

15:00-15:30  野村 M. 慎一郎 (東北大) 「人工アメーバプロトタイプ:モータータンパク質を内包したGUVのDNA回路による制御に向けて」

我々は,細胞サイズリポソーム(GUV)内部にてモータータンパク質を働かせ,その挙動をDNA分子回路によって制御することで人工分子アメーバのプロトタイプを構築する研究を行っている.最近,GUV内部への微小管導入効率を向上させ,さらにデザインしたDNA分子デバイスを用いることで,キネシン分子をGUV内壁の脂質二分子膜に導入して微小管分子によるリポソーム変形への道筋をつけた.今後,ATPなどのエネルギー分子および動作制御用のDNA分子をGUV膜を透過させて導入することで,人工分子アメーバの運動制御を実現してゆく.会議では本研究の現状と課題について述べる.

15:30-16:00 角五彰 (北大) 「生体分子モーター集団運動のDNA制御」

生体分子モーターは化学エネルギーを運動エネルギーに変換するアクティブソフトマターで、分子トランスポーターやアクティブプローブとしての応用だけでなく、魚や鳥などの集団運動を実験室レベルで再現するモデル材料としても期待されている。
本講演では生体分子モーターの集団運動をDNAを用いて制御する方法について紹介するとともに今後の展望についても議論したい。

16:00-16:30 平塚祐一 (北陸先端大) 「モータータンパク質による駆動する収縮性ファイバー(人工筋肉)の光描画」

最近我々は遺伝子工学的に改造したモータータンパク質(キネシン)が、カルシウム信号に応じ自己集積的に網目状の微小管のネットワークを形成させることを発見した。また、この微小管ネットワークを特殊な形状の微小チャンバー内で形成させると、長さ数ミリから数cmの収縮性ファイバーを作製できることを見いだした。さらに、光照射によりカルシウム濃度を変化させる試薬 Diazo-2をこの系に利用し、パターン状の光を照射することによりその形状の収縮性ファイバーを作製することができるようになった。本会議では、この収縮性ファーバの特性などを紹介する。

16:30-17:00 安部聡, 上野隆史 (東工大) 「細胞内結晶化を利用したタンパク質固体材料の開発」

タンパク質結晶は、蛋白質分子が規則正しく集積した固体の自己集合体であり、その内部には、機能性分子の固定化を可能とする反応空間が存在する。これま で、我々は、蛋白質結晶の特異な分子空間に着目し、金属イオン、金属錯体、金属微粒子を固定化することにより、タンパク質結晶の機能化を実現してきた。し かしながら、タンパク質の結晶化は、結晶化条件の最適化など熟練した技術が必要であり、簡便にかつ大量に結晶を合成する方法やその機能開拓は十分に達成さ れていない。そこで、本研究では、細胞内で結晶化する多角体タンパク質に着目し、結晶構造をもとにした分子設計により、タンパク質固体材料の開発を試み た。具体的には、1. 多角体結晶の溶解による内包酵素の放出制御と2. 分子界面のアミノ酸欠損によるナノ空間構築について報告する。
17:00-17:30  総合討論

18:00-20:30 アメーバ班会議(非公開、詳細別途)

 

第58回 人工知能学会 分子生物情報研究会(SIG-MBI)

SIG-MBI@Grand Front Osaka(GFO)

[日時] 7月31日(金)13:00-20:30

講演会:13:00-18:00、懇親会:18:30-20:30

[場所] GFO 北館タワーC 9F910 NICT会議室(大阪市北区大深町3-1)

[プログラム]

13:00       開会

13:00-13:50

講演1 小長谷 明彦 (東京工業大学・新学術領域分子ロボティクスアメーバ班代表)s007

題名:「アメーバ型分子ロボット開発の現状

概要:新学術領域「分子ロボティクス」では生体分子を用いて知能と感覚を備えた分子ロボットの研究を進めている。現在開発中の分子ロボットの一つで あるアメーバ型分子ロボットは細胞サイズのリポソームで構成され、分子アクチュエータ、分子センサーおよび分子コントローラを備えている。分 子アクチュエータは分子モーターや微小管から構成される。分子センサーはDNAオリガミで構成され、外部信号をDNA断片に変換する。分子コ ントローラはDNA計算技術を用いてDNA断片を増幅し、分子アクチュエータを制御する。各要素技術は既に開発済みであり、現在、システム統 合化のための要素技術の摺合せに注力している。また、このようなアメーバ型分子ロボットの設計を支援するために実時間可視化シミュレーション システムを構築中である。

 

13:50-14:40

講演2 Ferdinand Peper (NICT脳情報通信融合研究所)

s001

題名:「Stochastic Swarms and their Information Processing

概要: Stochastic swarms are autonomously operating agents that are extremely simple, yet able to conduct cooperative tasks. Their small size makes them susceptible to phenomena on micro-scales such as Brownian motion. In addition, the agents have an extremely limited amount of energy available to drive their operations. We discuss operational principles of stochastic swarms, and illustrate their possible use in molecular robotics and micro-scale sensor networks.

 

(休憩10分)

 

14:50-15:40

講演3 佐藤 彰洋(京都大学情報学研究科)s002

題名:「ウイルス伝搬の数理モデル化とデータ駆動型シミュレーション

概要: ネットワーク上での遅れ確率SIRモデルを用いた感染症伝搬の数理モデルを提案する。2014年西アフリカでのエボラ出血熱の拡散について、実際の航空ネットワークデータおよび人口データ、WHOによる感染者数と死亡者数の公表値を用いた拡散のシナリオシミュレーションを行った。その結果、自己増殖率を先進国において極めて小さくできたとしても、発展途上国での自己増殖率が2に近い場合には、パンデミックを起こさないようにすることは先進国だけの努力ではできないことがわかった。

 

15:40-16:30

講演4 篠崎 隆志(NICT脳情報通信融合研究所)s003

題名:「ディープラーニングによるデータ解析と学習表現

概要: ディープラーニングとは脳の仕組みを模した多層ニューラルネットワークにおける機械学習の仕組みである.本発表ではディープラーニングによる画像解析などの実例を紹介し、解析における学習表現の重要性について解説する。さらに人間のような柔軟な解析を可能とする、教師なし学習と教師あり学習を自在に切り替え可能な、新しいディープラーニングの手法である先行伝播学習法について紹介する。

 

(休憩10分)

 

16:40-17:30

講演5 澤井 秀文(NICTユニバーサルコミュニケーション研究所)s006

題名:「新しいスモールワールド・ネットワークの創発と実世界応用

概要: 複雑ネットワークは脳におけるニューロン同士を結ぶシナプスネットワーク、遺伝子ネットワーク等の生命システム、情報通信ネットワーク等の人工システム等、自然界と人工世界に遍く存在している。これらをモデル化した複雑ネットワークの研究は、主にスケールフリー・ネットワークとスモールワールド・ネットワークの研究を中心に行われてきたといって過言ではない。本講演では、蟻の採餌行動からヒントを得て、新しく提案したマルチスター型のスモールワールド・ネットワークの自己組織的な創発方法と、数学的な解析方法、階層化の方法とその解析方法、情報通信システムとロジスティクス分野を中心とした実世界応用などについて述べる。

 

17:30-18:00 総合討論(全員)

18:00                         閉会

18:30-20:30 懇親会(梅田周辺で会費:3000円程度を予定)

 

 

第56回人工知能学会分子生物情報研究会(SIG-MBI)(分子ロボティクスアメーバ班と共催)11月22日慶應日吉キャンパス

SIGMBI 2014年 11月22日(土)10:00-12:20 (慶応大学日吉キャンパス来往舎大会議室)

 
アメーバ型分子ロボットアーキテクチャの創出を目指して
小長谷明彦 (東工大)

アメーバ型ロボットは細胞サイズの巨大リポソームに分子センサ、分子アクチュエータ、分子制御回路を組み込むことで構成される。分子部品をシステムとして統合化するためには、部品間のインタフェースの策定と全体と部品とのバランスが重要となる。このような統合化技術をアーキテクチャの観点から俯瞰する。 リポソーム作製のための油中水滴エマルション遠心沈降法の標準化に向けて豊田太郎 (東大院総合文化) 様々な“分子部品”を搭載できる“分子ロボットのシャーシ(車体)”としてリポソームを作製するに当たり、油中水滴エマルション遠心沈降法は有力な手法であるが、巨大リポソームに内包する物質に合わせて最適化することが現状であり、システムとしての標準化は確立できていない。本発表では、本手法を用いたリポソーム作製の実験結果のケーススタディを通じて、標準化のためのプロセス開発を議論したい。
 

細胞運動型分子ロボットのプロトタイピング
○林真人、滝口金吾(名古屋大学大学院、理学研究科)

われわれは細胞運動を模した分子ロボットのプロトタイプとして、細胞骨格系タンパク質を封入したジャイアントリポソームの運動制御システムの開発を行っている。本講演では、アクチン-ミオシン封入型、高濃度アクチン線維封入型、微小管封入型ジャイアントリポソームの外部刺激による形態変化の特徴について紹介し、より大きな形態変化を引き起こすための具体的方策について議論する。

 
分子アメーバの構築に向けて:可動性骨格の構築
野村慎一郎 (東北大学)

我々は,様々な実現イメージのある分子ロボットの中でも単細胞運動モデルとでもいうべき分子アメーバの実現を目指して研究を行っている.天然のアメーバを直接再現するのではなく,運動分子を用いてシンプルな可動性の骨格をつくり,これを人工膜小胞内部に導入することで,運動の制御可能な微小ロボットの実現を目指す.アクチュエータとしてATPを加水分解して駆動するキネシン/微小管の分子モータを,構造として人工脂質二分子膜からなる巨大リポソームを採用する.この分子システムを基盤として,センサや回路,アクチュエータを実装してゆくことで分子アメーバ構築を行う.今回は本分子システムの基礎となる可動性の骨格のデザインとその評価について述べる.

 

SIGMBI 14:50-16:50 (慶応大学日吉キャンパス来往舎大会議室)

光誘起ペプチドナノファイバー成長システムの創製松浦和則
(鳥取大学) 

ペプチドナノファイバーの形成を光などの外部刺激により制御する分子システムは、医学や生物工学への応用のみならず、分子ロボット構築のための分子材料となりうる。我々は,beta-シート形成ペプチド(FKFEFKFE)と集合抑制部位としての一本鎖DNAを光応答性アミノ酸残基を介して繋げた新規コンジュゲートを設計・合成した。この分子にUV光を照射すると主鎖切断反応が起こり、遊離したペプチドが自己集合しナノファイバーを形成することを見出した。
 

DNA相互作用を用いた微小管集合体のモルフォロジー制御
角五彰(北大)

キネシンはアデノシン三リン酸(ATP)のエネルギーを用い,細胞骨格である微小管上を運動するモータータンパク質である。モータータンパク質 は細胞内物質輸送や筋収縮に関与しており,エネルギー変換効率が高い,遺伝子工学技術により改質が容易であるといった特徴を有する。このような特徴からナ ノサイズでの物質輸送やマイクロアクチュエータの動力源としての応用に向けた研究がなされている。またキネシンを固定したガラス基板上に微小管を固定化 し,そこへATPを加える事で滑り運動を発現させることで微小管の運動を観察する(in vitro motility assay)ことが可能である。これまでにin vitro motility assayを基盤とし,滑り運動する微小管にビオチン(Bt)とストレプトアビジン(St)による相互作用を導入することで,バンドル状,リング状,ネッ トワーク状といった微小管からなる様々な散逸構造の形成を報告してきた。これらの散逸構造はモルフォロジー特異的な運動モードを発現する。そのため散逸構 造の制御が可能となれば運動モードも自在に制御可能となる。しかし,これまで用いられてきたBt-St相互作用は制御性が低く散逸構造を相互変換すること は困難であった。そこで研究ではBt-Stの代わりに配列情報により相互作用の誘起及び強度が制御可能なDNAを用いることで微小管散逸構造の制御を目指す。

 
モータータンパク質による自己集積を利用した収縮性ファイバー(人工筋肉)の構築
平塚祐一 (北陸先端大)

モータータンパク質の一種キネシンの会合体と、そのレールタンパク質である微小管を混合すると、微小管が自発的に放射状のアスター構造をとることが知られている。我々は会合の程度を変えることで放射状とは異なる、ストレスファイバー様の微小管ネットワークを自己集積的に形成することを発見した。さらにこのファイバーを特殊な形状のマイクロチャンバー内で形成させると、長さ数ミリメートルの人工筋肉のような収縮性ファイバーが作成可能となった。